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私とダイゴさんはそれぞれ定位置につき、ゲストはそれぞれ観客席に座って、テレビ局は会場のスタッフに指定されたエリアへと陣をとった。
そうして役者がみんな揃えば、ダイゴさんは高らかに言葉を紡ぐ。
「さぁ、婚約者にして挑戦者エリシア!僕が1番強くてすごいということを、いま証明してみせよう!!」
周りにこちらの意図がばれないように、自信を前面に出して宣言したダイゴさんは、空高くボールを投げた。
「でてこい、エアームド!」
放物線を描いたモンスターボールからエアームドが飛び出し、フィールドに降り立つ。
観客席から黄色い声があがるなか、私は小さくため息をついて1つのモンスターボールを手にとる。
「まったく…。人が負けられないってわかってて、場を盛り上げるんだから…」
ごめんねみんな、もう少し付き合ってね。
モンスターボールを1度抱きしめると、私も彼に倣ってモンスターボールを空高く投げる。
「一発で決めるわよ、キュウコン!!」
フィールドに飛び出したキュウコンは、3度目の対峙となるエアームドを見据える。
ちらりと私を見たキュウコンと頷き合い、ダイゴさんとエアームドに向き直った。
「さぁ、かかっておいでエリシア。今度は正真正銘、公式戦だ!」
「エアームド、はがねのつばさ!」
ダイゴさんが指示を出し、こちらに向かってくるエアームドを冷静に見て、私はキュウコンに指示を出す。
「一発で決めるよキュウコン」
「かえんほうしゃ!」
私の指示に、キュウコンは勢いよく炎を出し、それは一直線に彼のエアームドへと向かう。
今回は意地でも負けられない。
「…必ず、」
あなたを倒して見せる。
それが、あなたの願いだというのなら。
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