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バトルを行っている当人達も、バトルを観戦している人たちも手に汗を握り、どちらが勝つんだと静かに見守る。


「メタグロス、コメットパンチだ」


「右に避けてメタグロス!!避けた後一気に近づいて、バレットパンチ!!」


「しまった…っ!メタグロス!!」


メタグロス同士の激しい攻防の末、


先に倒れたのは、



「…勝負あり!勝者、挑戦者エリシア!!」


「……お疲れ様、メタグロス。よく頑張ってくれた」


ダイゴさんのメタグロスだった。


未だ状況を理解できずに呆然としていれば、メタグロスが私に近づいて笑顔で頷いた。
それを見て我に返り、涙を流しながらメタグロスの身体に抱きついた。


「ありがとう、ありがとうメタグロス…!!勝てたよ!!」


メタグロスと勝利を噛み締めていればダイゴさんが近づいてきて、私の手をとって優しく微笑んだ。

「ありがとう、エリシア。良いバトルだった。今日からキミが、ホウエン地方のチャンピオンだよ」

「ダイゴさん…!!」













「…と、言いたいところだが、」

声色を変えて苦笑した彼は、自分がチャンピオンのままだと言った。それに慌てて理由を問う。

「どっ、どうしてですか…!?だって今…!!」

私の慌てように、ダイゴさんは不思議そうに首を傾げた。

「何故って、ここはポケモンリーグでもないし、そもそもホウエン地方でもないだろう。完全な非公式のポケモンバトルで、チャンピオンの座を渡すわけにはいかないからね」

理由を聞き、思わず膝から崩れ落ちる。

「そんなぁ……」

あんなに頑張ったのに…と悲しんでいれば、ダイゴさんに手をとられて立ち上がる。
すると逆に彼が片膝をつき、私を見上げた。

「チャンピオンの座は渡せないが、デボン・コーポレーション次期社長夫人兼、ホウエン地方チャンピオン夫人の座をプレゼントすることは出来る」


今度こそ、僕と結婚してくれないか。


微笑みながらプロポーズされ、私は目を見開く。
嬉しいことに変わりはないが、少し眉間に皺を寄せれば、彼は不思議そうに首を傾げる。

「私はデボン・コーポレーション次期社長夫人も、チャンピオン夫人にも興味はありません。私はただ、ツワブキダイゴという、私が愛した人のお嫁さんになりたいんです」

「エリシア…」

目を見開いて私を見る彼に小さく笑い、彼の手をとって立ち上がらせ、顔を見上げる。

「ダイゴさんの肩書きなんてどうだっていいんです。…ずっと、隣で歩んでもいいですか」

私の本音を伝えれば、彼は泣きそうに顔を歪めながらも笑って頷き、私を力強く抱きしめた。

「あぁ…。あぁ…っ!もちろんだ……!僕の隣を歩くのは、エリシアでないと嫌だ…!」

一生傍にいてくれと言われ、二つ返事で頷く。

今日はなんて良い日なんだろうか。

早く家に帰ってティアにも報告しなければ。
彼女はどんなに喜んでくれることだろう。


 

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