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トキワジムの中は、今までにないほど空気が張り詰めていた。
ホウエン地方のチャンピオンに、その婚約者の女性が挑んでいるのだ。
他地方のジムで、非公式に。
しかも、女性の方がポケモンのタイプ相性的にも有利なため、チャンピオンの方が押されている。
チャンピオンの手持ちで戦えるのはあと1匹。
女性の手持ちで戦えるのはあと2匹。
だがここで、女性のポケモンがチャンピオンのポケモンによって倒される。
これで、お互い残りのポケモンは1匹となった。
「チルタリス…!!」
「さあ、出しなよキミも。手持ちのポケモンは変わってないんだろう?」
「…っ、お願い…!」
チャンピオンの言葉に女性は泣きそうなほど顔を歪め、チルタリスをボールに戻し、最後の1体をバトルフィールドへと繰り出した。
そのポケモンとは、メタグロスだった。
チャンピオンがメインパートナーとして、現在フィールドに出しているポケモンと同じ種族だということに、その場にいる誰もが目を見開く。
唯一違いがあるとすれば、女性が持っているメタグロスは、普通の個体とは色が違うところだろうか。
考えろ、考えるんだ。
どうすれば、彼に勝てる。
"迷うな。ミスをしたらその時にカバーすれば良い"
バトルが始まる前に聞いた、グリーンのアドバイスを思い出し、一度深呼吸をしてメタグロスに指示を出す。
「メタグロス、しねんのずつき!!」
今度こそ、ダイゴさんに勝つんだ。
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