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「やっと見つけたよ、エリシア」
「……ダイゴ、さん」
どうして彼がここにいるんだろうと尋ねれば、身体を離して経緯を話してくれた。
「少し前に、ロケット団が解散しただろう。その残党がどうなっているか心配で、定期的にカントーに来ているんだよ」
様子見でねと言った彼に納得し、今度は彼から説明しろと言われたため、素直に話す。
「実は……」
「…なるほど。元チャンピオンでもあるグリーン君に、勝負を挑んでいたわけか」
「すみません。連絡もとりたかったんですが、というか連絡できる前提でこっちに来たために、メールには場所まで書いてなかったんですが…」
ポケナビがカントーでは使えないこと、郵便もホウエンまで届かないと言われたこと、その他連絡を取ろうとしたらすべて却下されたことを説明すれば、最初は怒っていた彼も、最後には苦笑に変わっていた。
「…まぁ、とりあえず、僕に連絡を取ろうと頑張っていたことは理解したよ」
「ご心配をおかけしてしまってすみません」
「うん、心配したよ。まあ、無事で良かった」
幾分か笑顔になった彼に安心していれば、彼からポケモンバトルをしようとの申し出が。
それに慌てていればグリーンが戻ってきて、ダイゴさんを見て驚いたと同時に、私を見て理解したのかため息をついた。
そんなことはお構いなしだと、ダイゴさんはグリーンにジムを貸してくれと頼めば、グリーンは快諾した。
「ホウエン地方のチャンピオンに言われちゃあ、貸し出すしかないですね」
「助かるよ」
さあエリシア、行こう。
いつになく気合が入った彼に続くように力なく歩き出せば、グリーンが私の隣に並んで小さな声で語りかけてきた。
「お前がいつまでも俺に勝てないのは、ポケモンに指示を出す直前の、ほんの一瞬に迷いがあるからだ。その一瞬のタイミングを逃しているから、俺に負ける。自分の指示に自信を持て。ミスをしたら、その時にカバーすれば良いんだよ」
3か月経って、初めてアドバイスをくれた彼に驚き、でも嬉しくなってお礼を告げた。
そして既にバトルフィールドにスタンバイしているダイゴさんに倣い、私も所定の位置につく。
「エリシア、僕に負けたらホウエン地方に戻ってくるんだ。向こうで強くなる方法を見つければ良いだろう。僕がキミを強くしても良い」
この条件は譲らないと、強い眼差しで言われ、私は頷く。
「……わかりました。負ければダイゴさんに従ってホウエン地方に戻ります。でも、」
勝つのは私です。
ボールをフィールドに投げてキュウコンを出せば、それはどうかなと彼もエアームドを出す。
以前にも見た光景だが、その時の私とは違うということを、彼に見せなければいけない。
…本当は、グリーンを倒した上でホウエン地方に戻って、改めて四天王も倒して彼に挑みたかったけれど、それはまたの機会にしよう。
「キュウコン、だいもんじ!」
今度こそ、負けない。
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