4040/62
「…よし、」
ある日の早朝、まだ陽も登らない時間から家を出る。
「……寒い」
気温がまだ低いため、吐く息は白い。
辺りは薄暗く、昼間は人通りが多いこの道も、今は人ひとりいない。
背中には旅で使っていた大きめのリュックサック。
腰のベルトには6つのモンスターボール。
近くのフレンドリィショップに立ち寄って、軽食と飲み物を買った。
ショップから出てチルタリスをボールから出す。
「出発しよう、チルタリス」
「チル」
わかったと言うように頷いたチルタリスの背に乗り、目的地の場所を伝える。
「ミナモシティまで、おねがい」
大空に羽ばたくチルタリスの背中を撫で、腕時計で時間をたしかめる。
予約した船は、ちょうどミナモシティに到着して30分後ぐらいで出発するだろう。
両親とティア、それぞれに宛てた手紙は自室の机上に置いてきた。
ダイゴさんには昨日メールで伝えたが、場所は明確に書いてなかった気がする。
……目的地に着いてから、場所は伝えようかな。
「……ごめんなさい、ダイゴさん」
私は今から、最低なことをします。
許してほしいとは言いません。
それでも私は、
必ず、あなたを倒して見せる。
← →