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ブラッシングがちょうど終わる頃にダイゴさんが部屋へ戻って来た。
彼はキュウコンを見て顔を緩め、久しぶりと挨拶をする。

「トクサネシティで会ったときも思ったけど、強くなったね。よく鍛えられているよ」

ダイゴさんが頭を撫でれば、キュウコンは嬉しそうに鳴いて応える。
挨拶もそこそこにキュウコンをボールへ戻してソファに座り直せば、彼もまた向かいのソファへと腰を下ろした。

「久しぶりだね。トクサネシティで会ったとき以来だ」

「はい。お久しぶりです」

以前はたくさんお世話になりました。と頭を下げれば、彼は楽しそうに笑い、次いで苦笑した。

「本当は、僕がチャンピオンになってすぐにエリシアの家に行ったのだけれど、その時には君はもう旅に出ていてね。トクサネシティまでは連絡手段もなくて不安だったんだ」

…って言っても、あまり連絡はできなかったんだけどね。

私が宣言通り、リーグへ挑戦してきてくれて良かったと彼に息を吐きながら言われ、少しの罪悪感が募った。

「すみません…。私も旅に出ることを連絡したかったんですが…」

「ああ、それは仕方ないよ。伝える術が無かったからね。あの時はポケナビも発売されてなかったし」

気にしないでくれと苦笑しながら言われ、頷く。

その後もお互いの旅について話し合い、それもひと段落したところで、ダイゴさんが徐に席を立ち、私のそばに片膝をついた。

「エリシア、予定より遅くなってしまったけど、僕と結婚してほしい」

そう告げた彼の手の中には、小さな四角い箱。
そしてその箱の中には、小さな指輪が収まっていた。

ダイゴさんは今、チャンピオンという座にいながらもデボン・コーポレーションの副社長として、本格的に家業を継ぐ準備に入っているらしい。
話しが進めば、今すぐにでも社長になって家業を継げるらしいというのだから、思わず驚いてしまった。

先程のキュウコンとの会話を振り返り、私の返事を待っているダイゴさんの顔を見る。











「お気持ち、すごく嬉しいです。けれどすみません、少し考えさせてください」



「……エリシア?」



私の答えを聞いた彼は、一瞬で顔を青くさせた。

 

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