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「勝負あり!勝者、挑戦者エリシア!!」
「負けちゃったー」
「死ぬかと思った……」
やっとのことでフヨウさんに勝ち、彼女と話しながらみんなを回復させていく。
「ねえねえ、エリシア」
「なんですか?」
「チャンピオンのどこを好きになったの?」
その質問に、またからかわれているのかとうんざりしながら彼女の顔を見れば、どうやら純粋に聞いていたらしく、不思議そうに首を傾げていた。
「だってチャンピオンったら、隙があれば洞窟に行こうとリーグを抜け出そうとするのよ?それで行方不明になって何日も帰ってこないなんてことあるんだから」
それからフヨウさんによるダイゴさんへの愚痴を聞き、最後のほうにはフヨウさんに頭を下げていた。
「うちの婚約者がすみません…」
「いいよいいよ。いろいろ言ったけど、今のチャンピオンって嫌いじゃないからさ」
で、どこを好きになったの?と再度問われ、手当てしていた最後のポケモンをボールに戻し、うーんと数秒考える。
「優しいところ、ですかね。私がまだ幼かった頃、バトルに興味を示したらダイゴさんがバトルを教えてくれたんです。ほかにも、幼い私のわがままにも全部付き合ってくれて…。私には勿体ない方ですよ、あの人は」
私以上に素敵な人なんて彼の周りにはたくさんいるだろうに、未だに婚約を続けてくれている、とても優しい人だ。
「…本当に、私には勿体ないんです」
自分で言っていて悲しくなり、下を向けばフヨウさんが頭を撫でてくれた。
「それでもあの人は、エリシアのことが好きなんだよ。付き合いが短い私にも、ここにいるスタッフだってわかるほどにね」
私から見たら、2人はお似合いだよ。と言ってもらって、少し気が楽になる。
「ありがとうございます」
「ううん。エリシアの気持ちが知れて嬉しかったよ。じゃあ、先の部屋に進んで!頑張ってね!!」
フヨウさんに背中を押され、そのまま駆け足で次の部屋へと向かった。
「…がんばろ」
そしてこの後、3人目の四天王であるプリムさん、最後の四天王のゲンジさんにも挑み、辛くも勝利をおさめたのだった。
そして2人からもダイゴさんとのことでいじられたのは言うまでもない。
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