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※長くなったので2ページにまたぎます
「……そんな…」
目の前の光景を茫然と眺める。
私は今日、人生で初めて、ダイゴさん以外のトレーナーにバトルで負けた。
* * *
時間はコンテスト優勝後まで巻き戻る。
朝から参加したうつくしさ部門のスーパーランクに、ミロカロスで優勝した。
時間も早かったため、そのままミナモシティからなみのりでルネシティまで向かう。
途中出会うトレーナーたちとバトルをしていると、あるバトル終了後にチルットが光り出し、その光がおさまればチルットはチルタリスに進化していた。
進化しても他の個体と色違いなのは変わらないみたいだ。
見慣れた色だから、変わらなかったことにちょっと安心した。
「これからもよろしくね、チルタリス」
頭を撫でればチルタリスは喜び、再びルネシティへ向かい始める。
…が、
「……ルネシティの入口なくない?」
広い海を進めど進めどルネシティの入口は見えず、見えるのは高い岩の壁ばかり。
このまま岩の壁に沿って進んでも時間が無駄に過ぎるだけだし、野生のポケモンがあらわれて先頭になり、手持ちのみんなの疲労も蓄積されていく。
どうするべきか悩んで視線を彷徨わせれば、少し先に家が一軒建っているのが見えてそこへ向かった。
家へ辿り着けばミロカロスをボールに戻し、玄関の呼び鈴を鳴らして家人へ話を聞く。
「すみません、ルネシティへ入るにはどうすればいいですか?」
尋ねれば、家から出てきたおばあさんは笑って快く教えてくれた。
たぶん、この質問も多くのトレーナーたちにされてきたのだろう。
「ルネに入るにはポケモンの技が必要なんだよ」
その技とは、ダイビングというものらしい。
その技を使って海に潜り、海底にある穴からルネシティの中に入り海上へ出る、と。
そういうことらしい。
「ダイビングの技マシン、1つ余ってるから持っておいき」
「いいんですか!?」
「あぁ、いいとも。私はもうポケモンに覚えさせているからね」
そう言っておばあさんは一度家の中に戻り、次に玄関に出てきたときには右手に技マシンを持っており、私に差し出した。
「さ、持っておいき。必要なんだろう?」
「ありがとうございます!!」
丁寧に技マシンを受け取り、おばあさんに何度も頭を下げて別れる。
ダイビングを覚えられるのはミロカロスしかいないから、少し迷ってれいとうビームを忘れてもらい、ダイビングを覚えてもらった。
「行こうか、ミロカロス。疲れてるのに長時間ごめんね」
労わるように身体を撫で、謝りながらもミロカロスに乗ってなみのり、そしてダイビングを指示して、今度こそルネシティへ向かうのだった。
途中、海底にあるという穴を目指していれば、ある石を見つけて思わず立ち止まってしまう。
「あの石って……」
ダイゴさんが以前話してくれていた石だったような……?
その石は海底にあるにも関わらず少しだけ輝きを放っていて、そういえばとダイゴさんが話してくれた内容を思い出す。
「……この資料に書いてある石はね、とても珍しいものなんだ。どんな暗闇でも輝き、太陽の光を浴びせれば七色に光るらしいんだ」
「それはすごいですね…!でも、いったいどこに…?洞窟ですかね?」
「それはわからない。だけど、生きているうちに必ず見つけてみせるよ。この………の石を」
頭を捻って思い出そうとしたが、肝心の名前をどうしても思い出せず、諦めて先を急ぐ。
まぁ、次ダイゴさんに会ったときにここのことを教えればいいか。
「わぁ…!!」
おばあさんの説明通り、海底の穴からルネシティ内部へ入り海上にあがれば、そこは外壁と岩に囲まれた、真っ白な街だった。
ポケモンセンターとフレンドリィショップ、ポケモンジム以外の一般の民家は白、地面の道も真っ白な岩だ。
「綺麗…」
厳かな雰囲気が街全体に流れていて、少し見とれる。
「ふわぁぁぉ……」
「っあ、ごめんねミロカロス。疲れたよね。ポケモンセンターに行こうか」
ミロカロスが疲れたと訴えてくれたおかげでその場から動き出し、ポケモンセンターへと向かう。
……ミロカロスが疲れを訴えてくれなかったら、私はずっとあそこにいたかもしれない。
その後、ポケモンセンターのジョーイさんに話を聞いたところ、ここのジムリーダーは水や氷ポケモンを使うらしい。
ルネシティのジムリーダーといえば彼を思い出してしまうが、まあゲーム本編より何年も前だしと油断していたのが悪かったのかもしれない。
ポケモンセンターに立ち寄った後、フレンドリィショップで不足分の道具を買い足した後、早速ポケモンジムに行ってジムに挑戦する。
「…さむっ」
ジム内に入った瞬間冷気が漂ってきて、思わず両腕をさすってしまう。
入口にいた男性に話を聞けば、どうやら足元の氷を割らずに奥へ進めばいいらしい。
「2回踏むと下に落ちてしまうからな。ただし、全部の氷を踏まないと奥へ進む階段は現れない。気を付けろよ」
「ありがとうございます」
つまり、同じ氷を踏むことなく、1回ですべての氷を踏んで奥へ進め、ということらしい。
最初の氷を踏む前に1度深呼吸して、頭の中でルートを立ててその通りに進んでいく。
なかなか氷は厚いようで、1回踏むとヒビが入るものの、案外割れないみたいだ。
でも、落ちるかもしれないという恐怖との戦いは拭えない。
「…胃が痛い」
はやく終わりたい、このジムミッション。
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