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7個目のジムまできた。
この世界は、基本的にゲームに出てくるジムとタイプは変わらない。
ということは、今から挑戦するジムはエスパータイプということになる。
「えーとエスパーのタイプ一致は…」
メモ帳からそれぞれのタイプ一致、不一致を確認し、少し顔をしかめてしまう。
「…むし、ゴースト、あくタイプ、か」
自分の手持ちを準備思い出し、頭を抱える。
どのタイプもいないなぁ。
でも不一致のタイプはかくとうとエスパーだから、ポジティブに考えればダメージを受けすぎることがない。
…まぁ、こっちのダメージもすべて等倍だけど。
「…って考えれば、まぁ、ごり押しでいけるか」
とりあえずエスパータイプのメタグロスとサーナイトは最後で、最初はだれにしようかな。
うぅん…とジムに向かって歩きながら考えていれば、私の考えていることがわかっているのか、ライチュウが私の前に出て「まかせろ」とでも言うように片腕をあげた。
「…そう。頑張ってくれるんだね」
じゃあまかせたよ。
ライライ!
* * *
「…って、簡単にライチュウに先頭を任せたけど、」
なにこの子、強すぎない?
まともに見るライチュウの強さに唖然としながら、ジムトレーナーとのバトルに勝利して誇らしげに胸を張っているライチュウの頭を撫でる。
トクサネジムに挑戦して3人ほどのジムトレーナーと戦ったが、どれもライチュウの快勝だ。
攻撃を受けてもそんなにダメージを受けている印象もないし、ライチュウに進化したことによって防御も上がったのかもしれない。
まぁラクにジム挑戦が終わるに越したことはないと考えるのをやめ、どんどん先へ進む。
途中で、ちょっとした作戦を思いつき、鞄から1つの技マシンを取り出し、ミロカロスにその技を覚えてもらう。
「ライチュウ、ごめんね。ジムリーダーと戦うとき、最初にミロカロスを出させてね」
良い考えがあるのだと伝えれば、ライチュウは不満そうにしながらも頷いてくれたため頭を撫で、先を急ぐ。
地面に敷いてある、面倒な矢印のパネルを進んで、ワープして、ジム内の仕掛けを解いて…
「ようこそ、トクサネジムへ!」
「私はジムリーダーのミモザ。私とポケモンのテレパシー、あなたに破ることが出来るかしら」
「やっっっっっと着いた…!」
ワープした先で女性が笑顔で自己紹介してくれたのを見て、やっとかと膝から崩れ落ちた。
そんな私を見てミモザさんは慌てて駆け寄ってきてくれて、なんと手を貸してくれたのだ。優しい。
「だ、大丈夫!?ごめんなさいね、このジム、仕掛けが面倒だったでしょ?」
「あ、いや、いろんなジムトレーナーと戦えたので良かったです…」
でも正直面倒でした。
とは心の中だけにしておいて、気を取り直してポケモンバトルを開始する。
「私はエリシアです。トクサネジムのジムバッジ、いただきに参りました」
「それはどうかしらね。チリーン、サイコキネシスよ」
「お願い、ミロカロス!ハイドロポンプ!」
先ほどライチュウに相談して承諾してもらったミロカロスを最初に出し、指示を出す。
ミロカロスは耐久性にも優れているし、1〜2匹は倒せる可能性もある。
「…っく!チリーン、もういいわ!ゆっくり休んで!
ソルロック!頑張ってちょうだい!」
思ったとおり、ミロカロスはチリーンを倒してくれて、ミモザさんが後続で出したのはソルロック。
そのポケモンを認識して、即座にミロカロスに指示を出した。
「ミロカロス、あまごい」
「…っ!」
ソーラービームを出されては困るため雨を降らせれば、ミモザさんは小さくだけど眉間にしわを寄せた。
その表情を見て、途中でミロカロスにあまごいを覚えてもらって良かったと胸を撫で下ろす。
そう。
私が途中でミロカロスに覚えさせたのは”あまごい”
5ターンだけ雨を降らせる技で、ソーラービームの威力は半減するのだ。
「…まぁいいわ。ソルロック、ねんりきよ」
「ミロカロス、ハイドロポンプ!」
ソルロックはたしかタイプはエスパーといわ。ならミロカロスで攻めればあまり怖くはない。
怖いのはソーラービームだけだ。
その後もソルロックを倒せばルナトーンを出され、またもやミロカロスのハイドロポンプで倒し、次に出されたのは、彼とのバトル以外で見ることはないと思っていた、あのポケモンだった。
「メタグロス、頑張って!しねんのずつき!」
「…っ、ミロカロス!!」
ミモザさんは、ルナトーンの後続でメタグロスを出し、私は予想していなかったポケモンなだけに酷く動揺してしまい、ミロカロスに指示を出せなかった。
そのせいでミロカロスはまともに技を受け、今までダメージを受けていたこともあり倒れてしまう。
「…っ、ありがとうミロカロス。…キュウコン」
ミロカロスと交代にキュウコンを出し、そのたくましい背中を見て1度目を閉じ、深呼吸する。
大丈夫。
メタグロスで動揺してちゃだめだ。
ダイゴさんと戦う前に予行練習ができるじゃないか。
前向きに考えて目を開け、こちらを見ていたキュウコンと目を合わせる。
どちらかともなく頷き、ミモザさんとメタグロスを見据える。
「キュウコン、メタグロスの間合いに入らないように気を付けながらかえんほうしゃ!」
絶対に勝つんだ。
ミモザさんにも、自分にも。
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