08

家まで案内をして、写真や段ボール箱が見たいと言った降谷さんに快く頷き、部屋に招き入れる。
その際に、降谷さんに呆れられたのはちょっと納得いかない。


「…お前、ちょっとは危機感持ったほうがいいぞ」

「おまわりさんが相手ですよ」

「それでもだよ」

危ないだろと言われ、笑ってしまったのは許してほしい。
しかし呆れられるのは納得いかない。降谷さんだし信用できるから部屋に入れたのに。

写真や段ボール箱を見た降谷さんは、話を聞いたときと同じように顔を歪め、やがて元どおりの場所に戻し、テーブルを挟んだ私の向かいに座った。

「よく耐えたな、あんなものきといて」

「犯人に心当たりが無いのと、身体的被害が無ければ取り合ってくれないだろうと思いまして」

「…だな。俺もそう思う」

出したお茶を一口で飲んだ降谷さんは、もう用は済んだとばかりに玄関に足を向けた。

「ちゃんと戸締りしろよ。チェーンもしっかりつけとけ」

「はーい」

「何かあったら、夜中でもいいから電話しろ。いいな」

「…はーい」

最初だから張り切ってるなこの人。と少し呆れ、返事をする。
私が返事をしたことに満足したらしい降谷さんは、「ちゃんと鍵とチェーンつけるまで玄関の前にいるからな!」と宣言をして扉の向こうへと消えていった。
扉が閉まったのを確認し、鍵とチェーンをつける。
人の気配なんてものはわからないが、降谷さんはちゃんと帰路についているだろうか。


それにしても、

「…あと7年もしないと原作に入らないのか」

どんだけ果てしないんだ。

ため息をつき、もうお風呂は明日でいいやと考えて、戸締りをしっかり確認して布団へ入る。

いま思うのは、とりあえずストーカー捕まってくれということばかりだ。





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