05

結論から言おう。
私は、誰かにストーカーされているらしい。

なんて物好きな、と思う。
私に付きまとうより、もっと美人な人がいただろうとも思う。

面倒なことになった。
警察に言うか。
…いや、証拠も犯人の心当たりも無いから、警察はまともに取り合ってくれないだろう。

自分で捕まえるか。
いやいや、そもそも力の差で負けるだろ。阿保か自分。蘭ちゃんじゃあるまいし。



どうしようか、など考え始めて1週間。
考えている間に、ストーカーも行為がエスカレートしてきた。
私宛にポストに封筒を入れ始めたのだ。
中身は私の隠し撮り。ピントが合っているものから、ずれているものまで様々。ただしカメラ目線の写真は1枚も無い。

ストーカーも暇だなぁ。という感想を抱いて、一応警察に届け出たが、予想通りまともに取り合ってはくれなかった。私がそんなに怯えていたようにも見えなかったことも、取り合ってくれなかった原因の何パーセントかはあるかもしれない。


だが、気になることがあった。
私が行った交番に、将来、安室透としてアニメに出て来る、降谷零の姿があったのだ。
原作は29歳だったと思うから、蘭ちゃんの年齢も計算して、現在22歳。
あれ、公安じゃなかったっけあの人。なんで町のおまわりさんやってんの。

私が降谷零(仮)が気になったのは、顔に見覚えがあったのと、私の話を聞いた警官の後ろで、悔しそうに顔を歪めていたことにある。
なりたかった警察官が、目の前で困った人をばっさりと捨て置いたことに憤りを感じたのかもしれない。
だが、まあ世間なんてそんなものである。警察も悪戯かどうか判断しなければならないだろうし、犯人の心当たりが全く無い状態から捜査を始めるのも嫌だったのだろう。


「どうするかな…」

小声で呟き、耳をすませるともう1人分の足音があることを確認する。


(……ほとぼりが冷めるまで放っとこ)


私の身体に実害が無ければ、もうなんでもいいよ。



なんて、深く考えずにいたことが、この後の事件の原因なのかもしれない。





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