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「…美味い」
「蘭ちゃんに料理を教えてたぐらいですから」
もう22時を回っていたし、胃に優しく、さっぱりしたものを作って出せば、美味しいと感想をもらえた。
私は毛利家で既に夕食をとっていたから、デザートにと先日買っていたケーキを食べている。
ゼロさんは一口二口ゆっくり食べると、暫く料理を見つめて、急に料理を胃にかきこみ始めた。
以前の大晦日のときも思いましたけど、意外と男らしい食べ方するんですね。
ものの数分で料理を平らげたゼロさんは、最後にグラスに入った冷たいお茶を一気に飲んで一息ついた。
「誰かが作ったご飯なんて、久しく食べてないな」
「自分で作っても、美味しいものできるでしょうに」
「まぁな。けど、こうやって作ってもらった方が、何倍も美味しい」
まぁ、その気持ちはなんとなくわかるが。
でもゼロさんなら何でも作れそうだ。
* * *
「今日はありがとな。久々に夕飯食った」
「できるだけ生活習慣乱さないでくださいご飯はしっかり食べてください。…また、食べに来てもいいですから」
ゼロさんなら歓迎しますと言うと、頭を撫でられた。
「暇なら明日、ポアロに来い。今日のお礼にハムサンド作ってやるから」
「あぁ、蘭ちゃんが美味しいって言ってたやつですね。ありがとうございます。暇な時間帯に伺います」
私の返事を聞いたゼロさんは笑い、じゃあなと言って暗闇の中へ歩いて行った。
程々に見送り、鍵とチェーンをしっかりとつけて戸締りもしっかりと確認した。
「…どこに引っ越そう」
もういっそのこと、ポアロの近くに住もうかな。
朝食べに行けるし。うんそうしよう。
お風呂に入って布団に潜り、携帯の賃貸サイトを寝落ちするまで眺めていた。
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