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ゼロさんが正式に部署に配属され(たぶん原作と同じ警察庁の警備局企画課)、暫くは連絡をとっていた。

しかし私が大学を卒業し、暫くすると連絡が途絶えてしまった。
電話をしてもメールをしても、なんの音沙汰もない。
つまりそれは、危険なところへの潜入というわけで。

「…ついに潜入したのかー」

常識人でイケメンがいなくなったと心の中で悲しみ、けど周りに言うわけにもいかないから、普段と同じように生活をする。

就職した後も、蘭ちゃんから連絡をもらった時には毛利家の夕飯を作りに行き、蘭ちゃんに料理を教える。
中学生になって半年経ち、出会ったときと比べると、随分料理上手になったものだと感心する。
空手もやっていることは知っていたが、学校と空手と家事を並行して行うなんて並大抵のことじゃない。
やっぱりいろんな意味で強いわこの子。と思ったことは数知れない。

「…どうか無事で」

今思うのは、私がこの世界にやって来て歯車が狂い、死なない人が死ぬ可能性があるかも知れないということ。
それが、ゼロさんではないことを切に願う。

ゼロさんが無事なのか確認できるのは、ポアロに安室透として潜入する、約4年後。
随分と遠いな、と1人笑い、時々通っているポアロへと足を向ける。
今日は蘭ちゃんに連絡をもらっているから、一緒にスーパー行かないと。


どれだけ危険か、なんとなくわかっているから、考えるのはゼロさんの無事だけ。





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