04


決意を新たにしてから数年経ち、私は12歳、ジュードくんとレイアは8歳になる。

どうやら、このあたりからジュードくんはいじめられていたようだ。

今日もほら、男の子数人に囲まれてる。



「お前、気持ちわりーよ」
「顔も女みたいだしな!」
「そのせいで、親にも相手にされてねーんじゃねーの?」


下品に声をあげて笑う男の子たちに、ジュードくんは顔を下に向ける。
隣にレイアがいないことから、どうやら彼女のいない隙を狙われたらしい。





「…荒れ狂う流れよ、」


スプラッシュ。と小声で、威力を調節しながら呟くと、男の子たちの頭上に水が現れ、それは男の子たちを濡らす。
彼らが驚いて咳き込んでいるうちにと、ジュードくんの手を引いて少し離れ、私の後ろに隠す。

咳が落ち着いた男の子たちは、私を見ると一斉に指をさす。


「…あ!お前!」
「何すんだよいきなり!!」


「じゃあ今度から一言言うね」


「「「そういう問題じゃねーよ!!」」」

声が揃うなんて、仲が良いんだね。


「…エリシア」

「ん。頑張ったね」

後ろで私の服の裾を遠慮がちに掴むジュードくんの頭を撫でると、嬉しそうに笑う。
天使か。
そうか天使だったな。

そしてこの間にも、男の子たちは文句を言っている。


「…おい!聞いてんのかよ!!」


「…うるさいなぁ。少しは黙れないの?」

一際大きな声で威嚇する彼らにイラつきを覚え、無意識に睨んで声も低くなる。


本当、残念な頭してるよね。
ジュードくん見習って、少しは勉強したらどう?
…あぁ、無理か。だって君らは、お利口に座ってお勉強するより、自分より弱い人間だと決めつけて、目の前の人間をいじめてるんだもんね。
そりゃあ残念な頭をしているわけだ。


長々と笑顔で一気にまくし立てると、男の子たちの顔が怒りに染まる。
ジュードくんを離れたところに移動させ、その近くに私の荷物を置く。


「ちょっとだけ待っててね」


ジュードくんの頭を撫で、男の子たちと向き合うと乱闘が始まる。

乱闘と言っても、毎度私の一人勝ちだ。


男の子たちを倒せば、彼らは慌てて逃げていく。
時計を見れば、そんなに時間は経っていなかった。良かった。


ジュードくんのもとに戻り、自分の荷物を背負う。
その後は彼の手を引いて帰路についた。


「エリシア、ありがとう」

「どういたしまして。レイアはどうしたの?」

「今日は家の手伝いがあるって言ってた」

他愛もない話しをして、当たり前のように私の家へと帰る。
最近はエリンさんもディラックさんも仕事のほうにのめり込んでいて、ジュードくんはよく私の家にいる。
ジュードくんの前では私も本を読まないため、母さんも喜んでいる。


「ジュードくんがいたら本読まないし外で遊ぶから、母さんも嬉しいわ」


でしょうね!!知ってたよ!

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