02
「ちょっとエリシア!また本読んで…!!」
暗に外で遊んで来いと怒る母さんに生返事をする。
異世界に転生してから2年。
いくつかわかったことがある。
まず、ここは私がゲームで楽しんでいた、テイルズオブエクシリアの世界らしい。
私がいる街はル・ロンド。
そしてここが重要なのだが、どうやら現在、この街にジュードくんやレイアは存在していないらしい。
というのも、ジュードくんの母親であるエリンさんはまだ妊娠していなかったし、レイアの母親であるソニアさんもまだ妊娠しておらず、元気に宿屋を営んでいた。
…ということは、いまはゲーム本編の数年前、ということになる。
これに気が付いてから、私は子供らしく外で遊ぶのをやめた。
私は、私のなすべきことのために、家にある本や図書館にある本を読み漁り、知識を蓄えていくようになったのだ。
私がなすべきこと、それは、
"シナリオを壊すこと"だ。
ゲームのシナリオは犠牲が多すぎる。(まぁテイルズでは通常運転だけど)
私は、みんなが笑っている未来が欲しい。
だから、私は命をかけて戦う。
「…ちょっと出掛けてくる」
読み終わった本を置き、グローブを嵌めて剣を持って家を出る。
先ほども述べたが、ここはル・ロンドだ。
どうやら、物語にすんなり介入できそうなポジションにいるらしい。
神様とやらの気まぐれだったとしても、これは好都合。
この世界は正史世界、だと思いたい。
希望なのは、ゲームにはいないはずの、私という存在がいるから。
…まぁ、とりあえず、
「…強くなる」
そして成長するジュードくんを愛でる。
ル・ロンドから少し離れた森に着くと、私を食べようと目を光らせる魔物たち。
「やろうか」
私のレベル上げに付き合ってね。
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