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「…あれ?」
パチリと目を覚まして辺りを見回す。
見覚えのない部屋だ。
子供用の部屋なのか、明るいピンク色に統一された家具とベッドがある。あと全身鏡。
私は昨日、とくに代わり映えのない1日を過ごした……はず。
朝起きて出社して、お昼休みにエクシリアのゲームを少し進めて、家に帰って……。
…違う。
家に着く前に、私は事故で死んだんだ。
信号無視の車が猛スピードで突っ込んできて、そして……。
「…ってことは、」
わたし、転生した…?
ベッドの上で茫然としていると、部屋のドアを開けて女性が入ってくる。
「エリシアー?起きたー?」
ご飯作ったからリビングに来なさーい。
女性は言うだけ言って、踵を返して部屋から出ていった。
「…まじか」
女性の服装は、私が住んでいた世界で日常的に着るものではなかった。
まるでどこか、異世界のような…。
そう思った瞬間、すぐ右手にあった窓から外の風景を見る。
そこに広がっていたのは、背を競い合うように立ち並ぶマンションやビル……ではなく、海が近くにあって一軒家が立ち並ぶ、のどかそうな風景だった。
「…まじか」
本日2度目の言葉を口にし、再び部屋の外から聞こえてきた声に、慌ててベッドから出て部屋を出る。
どうやら、私は転生したらしい。
第1章 はじまり
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