13


ある日


学校が休みのためベッドで寝ていると、誰かが部屋に入ってきた。
まぁ、誰かと言っても1人しかいないんだけど。


「エリシアー、って…。…寝てるんだ」


いつも忙しそうだし、休ませてあげようかな。


ため息交じりにぽつりと呟いたのが聞こえたため、少しでも眠気を覚ますためにベッドから手を出して目を開ける。

そしていつもより少しだけお洒落をしている彼を見て、思い出す。


「…ごめん、寝坊した。すぐ準備する」


起き上がった私を見て、ジュード君は慌てたように両手を胸の前で横に振った。


「あ、いや、疲れてるなら休んでても…っ」


「約束取り付けたのはこっちだよ。ごめんね、ちょっと待ってて」


ジュード君の手を引いてリビングにある椅子に座らせ、私は出掛ける準備をするために洗面所へ向かった。


「はぁ…」


準備の手を止めることなく、小さくため息をこぼす。
今日はジュード君の誕生日であることもあり、学校が休みだから出掛けようと持ち出したのは私だった。もちろんプレゼントも買ってある。

イル・ファンは1日中夜というだけでなく、四季もあまり変わらないようだ。そのために、ジュード君の誕生日を忘れるところだった。

私もジュード君に合わせて、少しお洒落をしてジュード君のいるリビングへと戻った。


「待たせてごめんね。行こうか」


「そんなに待ってないし、大丈夫だよ」


鞄に財布と鍵を入れて、一緒に家を出る。
玄関の鍵を閉めていると、ジュード君が私を見て首を傾げた。


「エリシア、髪染めてたっけ?」


ジュード君が不思議そうに指をさしたのは、エントと契約した証の、緑色の髪先だった。


「ちょっとね。たまにはお洒落でもしようかなって」


「それで髪先だけって…」


似合ってるけどさ。と苦笑いされ、この話題を打ち切るために早く行こうと彼の背中を押した。


まだ、ジュード君に言うわけにはいかないのだ。

prev next

[back]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -