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光が一瞬だけ強くなれば、彼らは発光体ではなくなっていて、代わりに背中に羽を携えた小さい男の子になっていた。

2人はその姿で、私に名前をつけてくれと頼む。


『僕たちは、四大精霊みたいに名前を持っていないんだ』
『貴方様のお好きなようにお呼びください』


「…じゃあ、」

風の精霊に、"エント"という名を。
水の精霊に、"セベク"という名を与えた。

「よろしくね。エント、セベク」

名前を呼ばれた2人は嬉しそうに飛び上がり、私の頭上を飛びまわる。

『こちらこそ!僕をうまく使いこなしてね!』

『よろしくお願いいたします。エントは移動の際、主を運ぶことができます。私は、主が泳がなくても前に進められるようになり、水中でも息ができるようにいたします』

『共通していることは、エリシアは風と水を自在に操れるんだ』


随分と便利な力を得てしまったらしい。

エントとセベクに使い方を教えてもらい、まずは水を操ってみることに。
ちょうどそばに小さな湖があるからと、上着を脱いで片手で持つ。
もう片方の手は人差し指を立て、意識を集中させる。
そして人差し指を上に向ければ、同時に湖の水が重力に逆らって持ち上がったのだ。
そのまま人差し指を上着に向ければ、水は上着にあたり、それを濡らす。

「おぉ…!」

『そうそう。そこで意識を風に切り替えて…、』

エントの指示通り、意識を風の精霊に向けると、水が力をなくしたように、その場でばしゃりと地面を濡らし、代わりに風が吹き始める。
今度は人差し指だけでなく、手を服に向ければ、風は吹くにあたり、数分もすればクリーニングし立てのように綺麗な仕上がりになっていた。


「…便利」

『まあ、こんな感じ。たまーにだけど、風と水は無詠唱でも技が発動するよ』

『ですが、あまり当てにしないほうがいいかと。緊急事態のみにすると良いですよ』

「わかった。ありがとう、2人とも」

『意識はつながってるから、いつでも話しかけてね』


それを最後に、エントとセベクは姿を消した。
私は私で、何事もなかったかのように踵を返して街へと歩き出した。

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