11
ジュード君がタリム医学校に入学して2年。
私は17歳に。
ジュード君は14歳になった。
まだ年が明けたばかりだから、旅が始まるまでに1つ歳をとるのだろう。
ジュード君の公式年齢は15歳。…だったと思う。
つまり、今年中ないしは来年のジュード君の誕生日までに、旅が始まるのだ。
1年間、授業を最低限まで減らして街の外でクエストをこなしつつ精霊術の練習、剣技を磨いていれば、どちらもそこそこの腕にはなったと思う。
本格的に精霊術を使い始め、気づいたことがある。
不自然なほど、私の周りに精霊が集まるのだ。
特に、風と水の精霊が。
『エリシアは特別だからね』
『私たちがあなたに力を貸しているのも、あなたのマナに惹かれたからです』
「そうなんだ。……ん?」
聞こえてきた声に返事をして、はたと我に返る。
誰と話しているんだと辺りを見回すと、いつの間にか私の傍に、緑と青それぞれに発光している存在が、そこにいた。
「…、だれ?」
首を傾げると、発光体はそれぞれ自己紹介を始める。
『僕たちは風と水の精霊だよ。大精霊クラスの力には劣るけど、そこらの精霊よりは力が強いんだ!』
『前からあなたに力を貸していました。名はありませんが…』
『僕たちを使役してほしいな』
『私たちを使役してください』
「……え?」
2人同時にお願いされ、呆然と立ちすくむ。
どうやら、緑の発光体は風の精霊。青の発光体は水の精霊らしい。
私の周りに風と水の精霊が集まりやすいのも、彼らのおかげのようだ。
少し考えて、2人に言葉を紡ぐ。
「私は、この世界で成すべきことがあるの。そのために、いま力をつけてる。…私と一緒に来たら辛いこともあるかもしれないけど、それでもいいなら良いよ」
せっかく力を貸してくれるのだからと最後に頷けば、2人は嬉しそうに笑って頷いた。
そして強く光ったかと思った瞬間、体感温度が低くなり、髪先は緑に染まっていた。
2人によれば、これは精霊を使役した証らしい。
…これは、ジュード君になにか突っ込まれそうだなぁ。
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