09


食材を切る音や火を使う音を聞きながら、作業を進めていれば、気づけばレポートは終わり、論文も指定の枚数の半分が終わっていた。

とりあえずここまででいいかとペンを放り投げ、痛む利き手を、もう片方の手でさすっていればジュード君が私を呼んだ。


「はい、どうぞ」


冷蔵庫の中にあったもので作ったという彼の言葉とともに、目の前にお皿が置かれた。
中身は、私が大好きなジュード君特製のマーボーカレー。

私が食べ始めるのを見届けて、ジュード君は食器を洗い始める。


「多めに作ってるから、お腹空いたら温めて食べてね」


その言葉に、ジュード君も食べていけばいいと提案する。
すると彼は嬉しそうに「いいの?」と聞いてきたため、もちろんだと頷く。


「ジュード君が作ってくれたんだもの。食事だって、一人で食べるよりジュード君と食べたほうが美味しいわ」

「えへへ…。じゃあ、お言葉に甘えて」


いそいそと自分の分のマーボーカレーをお皿によそい、私の向かいに座って食べ始める。


「粗方キッチン見たけど、やたらご飯とサイダーが多いのって…」


「時間がないときは、食べないかサイダー飯かのどっちかだね」


「野菜もちゃんと食べなきゃ」


「……善処する」


来年から歴史の授業は減らして、精霊術の精度を上げようか。
旅は始まってからも多少は時間があるとはいえ、足手まといにはなりたくない。


来年からは授業を減らして魔物と戦おう。
どうせゲーム本編が始まれば学校も除籍になるだろうし。

私は目の前の食事を食べながら、これからのことを考えて一人頷いた。


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