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 レイ、あの時、ありがとう。俺の友達、レイ。クローンとか、テロメアが短いとか、わからないよ。どうしてレイは帰って来なかったのか、俺は未だにわからなかった。アスランとフリーダムのパイロットはのこのこ帰ってきて、どうして俺の友達は帰って来なかったのか。艦長は?議長は?レイは?わからない。でも、死ねばわかるのかもしれない。


 俺が死ねば喜ぶ人が山ほどいるのだろう。もう、生きてゆく資格もない。レイに会いたい。会って、訊きたいことがある。レイは俺のこと、友達って思ってくれていた?それとも道具?それとも駒?巷でいう、片思いに似た感覚じゃないかと最近考える。一方的な押し付けの友情なんて、かなしい。でも、そうだったとしても、レイは恨めない。だって片思いと同じ感覚なのだから。


 最近、牢にラクス・クラインが来るようになった。「ここから出たいですか」と、毎回訊き、まっすぐな視線を突き刺してくるから、ちょっと不快な気分になる。でも、俺は決まってこう答える。「此処が、俺の今の居場所ですから。」そういうと、さっきの視線は一変して、かなしそうに、なにも言わずに立ち去るんだ。それを、来るたびに繰り返すから、はやく殺してくれって思う。こんな毎日を繰り返している。天井のしみを数え、ラクス・クラインと問答をし、レイのことを考え、いつ灰になれるのか、と。噎び泣く。俺は今なにをしているのだろう、レイ。








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