※髪型が被る春奈ちゃんと神童くんを鬼道さんと合わせて三兄弟にしてみた話です。



春奈愛用のパソコンを食い入るように見つめている二人に、まだ寝ないのかと声をかける。今いいところなの。すいません、もう少し見たいです。鬼道の可愛い妹と弟は僅かに振り返って画面に向き直った。
全く、本物はこっちだぞ、と心の中で呆れた。春奈と拓人は鬼道のイタリアリーグでの試合映像を真剣に眺めている。

春奈にどこからこんなものを手に入れたのか尋ねたところ、佐久間に借りたとの答えが返ってきた。春奈と佐久間が自分の知らないところでやりとりをしていることが多少気になったが、佐久間は妹に手を出したりはしないだろうと詳細は聞かなかった。
それにしたって、自分の映像をこうも見られるとなんとなくむず痒い。春奈と拓人はソファーを背もたれに床にぺたりと座り込んで、試合の分析をしながらメモを取っている。少し離れた場所から二人の様子を眺める。


鬼道には一つ下の妹と、十歳年下の弟がいる。正確には弟とは血が繋がっていないが、それはあまり問題ではない。とにかく、とても兄を慕ってくれる可愛い妹と弟だった。サッカープレイヤーの兄弟らしく、二人ともサッカーが好きだ。拓人は自分のようにイタリアでプレイがしてみたいと言い、最近は春奈とイタリア語の勉強もしているらしい。

しばらくイタリアにいて久しぶりに帰国した。残してきた兄弟が上手くやっているか気になっていたが、春奈と拓人は日本にいた頃のままでとても仲が良かった。そろそろ拓人も姉といえど異性とは距離を置く年頃だと思うのだが、今も頬がくっつきそうな近さだ。まぁ、健全を絵に描いた二人は全くやましさなどなさそうではあるが。

しかしこいつらはもう三時間はこうしている。これはそんなに面白い試合だっただろうかと不思議に思い二人の元へ近づくと、すうすうと揃って寝息を立てていた。春奈は仕事で、拓人は学校や部活で疲れていたのだろう。春奈は拓人の肩に頭を乗せ、拓人は春奈の服の袖を掴んでいる。おい、風邪を引くぞと声をかけてもぴくりともしない。仕方なしに敷き布団を側に運んで春奈の眼鏡を外し、そっと二人を転がして毛布を掛けた。もう一枚毛布を持ってきて空いているソファーに横になる。たまには兄弟三人同じ部屋で眠るのもいいだろう。


目が覚めると、既に敷いたはずの布団は片付いていた。起きるのも揃って早いのかと感心しながら洗面所に向かう。そうして鏡越しに見えた光景に呆然とした。
春奈が拓人のおでこにキスをした後、何の躊躇いもなく拓人は春奈の頬に唇を付けていた。

「……お前ら……何を、」

あまりの驚きに声が震えた。やっぱり二人で日本に残すべきじゃなかったのか。天才ゲームメーカーとまで呼ばれた者が何て言うミスだ。
春奈と拓人は同じ速度で緩くカールした髪を揺らし振り返った。まるで咎められることなどなかったかのような顔をしている。

「「Buongiorno、兄さん」」

二人が顔を見合わせてからこちらを向き、にこりと笑う。両頬に唇を付けられた。
そうしてするりと両端をすり抜けようとした可愛い妹と弟の腕を掴む。

「……どういうことだ」
「どうしたの、兄さん?イタリアでは挨拶のキスは常識でしょう?」
「向こうで困らないように今から練習してるんですけど、おかしいですか?」

それは全く間違った知識ではないが、あえて日本人がする必要はない。きょとんと同じような表情をする春奈と拓人に朝から頭が痛くなった。

「……とりあえず外ではするんじゃないぞ、二人とも」





※その後、外ではしないという約束は守りましたが、佐久間さんと茜ちゃんが家に来ました

「なぁ鬼道、弟もう一人欲しくないか」
「……何だ佐久間、家に遊びに来て薮から棒に」
「お互い想い合ってるなら問題ないと思うんだ」
「……だからお前は頬を押さえながら何の話をしてるんだ」

「……ふつつかものですが、よろしくお願いします」
「……山菜、何だその大荷物は」
「……よろしくお願いします、お義兄さん」
「……だからお前も頬を押さえながら何の話をしてるんだ」









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