チャラ男会計の受難 | ナノ


√2*7



「ひ、ッ、!?ん、ん、ンッ」

再び、分厚くて生温い舌が入り込んできたと思えば。それは俺の口内を、ゆっくり…ヌルリと一回しした後にすぐに抜かれた。

…だが。

「っ、!!、ん、いッ、いた…っ」

安心したのも束の間。
ヤツは、俺の口の端をガリッと噛み付いてきやがった。

「ん、っ、は……は、離せ、っ」

比較的柔らかい部分だ。そんな所を力任せに噛まれれば、相当な痛みを感じるし、血だって出るに決まっている。だが俺の事なぞお構いなしに、会長はその傷口を舌で抉ってくる。

「ひ、っん、ッ、ふ、ぅ」

ただ単に傷口を嬲りたいだけなのか。それとも、やり過ぎたと思って労わってくれているのか。……おそらく前者だと思うが、どちらにせよ迷惑な事この上ない。はっきり言って、めちゃくちゃ痛い。
何だよ、コイツ。俺の首元に噛み付くは、口端にも噛み付くは、本当に危ないヤツだな…っ。

「ッ、ふ、っ、……ん、っ、やめ、ろ」

さっきの口振りからして、……ま、まるで、…お、俺を、好き?みたいな言い方したくせにさ。言っている事と、やっている事が、全然噛み合っていない。
というか、さっきのは…本当にそういう意味だったのだろうか。
会長が……俺の事を。

好き?


「……、っ、ぁ、…かいちょーは、」

「…あ?」

「俺のこと、好き…なの?」

非常に情けないが、慣れないキスと、与えられた痛みで、呼吸を乱したままでそう訊ねると。俺をいたぶっていた会長の動きがピタリと止まった。

「、はっ、何を言っているんだお前は」

「……え?」

「好きじゃねえと、付き合ってねえだろうが」

「は?…えっ?」

何を言っているんだというような不審そうな目で見下ろされたが。
それは本来俺がすべき事だ。

付き合うって何?
誰と誰が…っ?

「えーっとぉ……、俺達の関係って、ただの生徒会の役員同士じゃなくて……、つまりぃ?」

「恋人同士だろ?」

「!?」


い つ か ら !?




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