チャラ男会計の受難 | ナノ


√2*6



「………ッ、」

優しさも手加減も一切感じない荒っぽいキス。甘さなぞもっての他だ。
強引に舌を割り込ませてくるは、舌を力強く吸ってくるはで、苦しい事この上ない。

「、っ、ふ…、く、は、ッふ」

「…は、ッ」

何で俺がこんな目に遭わなくてはいけないんだ。
…というか、こいつは何で俺なんかにキスをしているんだ。訳が分からん。
俺への嫌がらせの延長戦か?だけどそれではダメージを負うのは俺だけではなくて、こいつも同じでは無いだろうか。

「ン、く、…ふ、ッ、ん」

大体、キスっていうのは好きな奴とするもんだろ。嫌がらせや、欲の発散でホイホイするものじゃないはずだ。

「ッ、は、ふ…、ン、ァ」

……ああ。
そう思うと余計に腹が立ってきた。

折角こいつの事、見直していたのに。
正義感が強くて、格好良い奴だと思っていたのに。

物凄く裏切られた気持ちだ。

「っ、ん、…は、ッ、や、…やめろッ」

胸元をおもいっきりドンッと殴ってやれば、会長はその衝撃で後ろに一歩下がった。
それに伴って、塞がれていた唇も自由になった。

「、ッ、……嫌がらせや、ストレス発散で、こんな事すんなよな、こんちくしょー」

チャラ男の面を被るのを忘れて素で喋っている事を思い出して、こんちくしょーと慌てて付け足したのだが、…逆におかしな事になってしまって、若干パニックになる。だが、ここで引くわけにはいけないので、ギッと睨み付けてやる。
……しかし、相手は立っていて、対する俺は座っているため、あまり効果はないかもしれない。

「こういう事は、好きな人とするもんでしょ」

だからこれはおかしいよ、と貞操観念の無い会長へ説教をする。
これこそ遊び人のチャラ男らしからぬ台詞だけれど、誰彼構わずキスするくらいなら俺は、「しっかり者のチャラ男」に喜んでジョブチェンジしようと思う。

「……それなら、何の問題もねえだろうが」

「、…は、っ?」

「好きなやつとならいいんだろ?」

「………まあ、そうなる、のかな?」

「ほら、何の問題もねえ」

「ちょ、ッ、……ん、むッ!?」

……意味わかんねえ!!
問題大有りだっつーの!!!





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