√2*5
「ひゃ、っ、ッ、ふ、ふへ、やめ…て」
「………」
無言で揉むんじゃねー!一人でワーワー騒いでいる俺が恥かしいじゃないか。馬鹿みたいじゃないか。
「ちょっ、ちょっとッ!しなくて、いいってば!」
「うるせえ」
「ん、っ…会長が、…ふ、ぅ、ッ…触るから、じゃん」
肩を凝るというのが、俺にはよく分からない。確かにダルイ時とかあるけれど、そんなもの一日寝れば大抵忘れる程度だ。だから凝っていない所を揉まれても気持ちがいいとか感じずに、たたただくすぐったいだけ。
「や、やめてよぉ」
「煩ぇって」
「だから、それは…会長が…、」
「いいから、黙って触らせろ」
「………ッ!?」
…な、何だよ。それ。
それだと……。まるで肩揉みなんて、ただの言い訳で、下心あって俺に触っているような言い方じゃないか。そんなの、絶対におかしい。
「………ん、」
……やっぱり、これは絶対に変だ。
ツゥー…と首筋を指の腹でなぞられて、おもわず変な声が出てしまった。
やばい。やばいぞ、これは。
過ちを犯す前に離れないと。此処から逃げないと。
「離、せ」
俺の肩や首筋を好き勝手に触りまくっている会長の手を払いのけようと、手を動かせば。
「……っ、」
振り払う前に、ギュッと強く掴まれた。
「あ……、」
驚きのあまり、心臓がドキッとした。
乙女心が高鳴ったようなドキッではなくだ。会長の行動に驚いて心臓が煩い程高鳴り出した。
後ろを振り返って会長を見上げれば。
会長は会長で、身を乗り出して俺の顔を見下ろしてきていた。
「……ん、ぅ」
あ、これは最高にヤバイぞ、と。思うよりも先に。
俺は会長に食われるように、口を塞がれてしまった。
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