√2*1
√神馬×充
副会長達のリコール。
それに関しては反対ではない。むしろ俺も賛成派なのだが。
だからといって、すぐさまリコールが出来るわけではない。それに至るまでの準備が普通の学校以上に、この学園は大変なのだ。
ましてや六人全員が揃ってもキツイ時があるというのに、それを三人で回している今の状況ではリコールの手続きどころか、まともな仕事すらも手が回らない状況だ。
…つまり。
簡単に言うと。
今は、凄く忙しいという事だ。
「……ふあ…、ねむ…」
現在早朝の六時。正確に言うと六時十分前。
昨夜も生徒会の仕事の所為で寝るのが遅かったというのに…。こんなのが毎日続くとなると、流石に堪える。
欠伸を噛み締めながら、生徒会室の扉を開けてみれば。
……正面の席には会長が既に眼鏡を掛けて座っていた。
「…かいちょ……?」
「……あ?愛咲か」
随分早ぇな。なんて眼鏡の端を持って上目遣いでコチラを見てくる会長には色々と突っ込み所が多い。
「早いって…、会長の方が先に居るじゃん」
「ああ、…まあな」
掛けていた眼鏡を外して机の上に置いた会長は、フゥーと深い溜息を吐きながら眉間を押さえている。
……何だか男の色気が漂っているような、ないような…。
学園の生徒達が見たら、さぞかし涎物だろう。
「……あ、のさ」
「あ?」
「ちゃんと寝てるの?」
「………」
この場合の無言は否定と捉えていいのだろう。
「目の下の隈凄いし、顔色悪いよ?」
「…大した事はない」
「で、でも…」
「うっせぇな……大丈夫だっつーの」
「…………」
大丈夫ではなさそうだから、この俺が直々に気遣いをしてやっているというのに何だこの俺様な態度は…。と、一瞬思ったけれど、苛立ちよりも今は心配の方が大きかった。
「(…何ていうか……今にも倒れそうだ)」
こういう場合はどう対応してあげればいいのだろうか。
いつもお世話になっている文献を頼ろうにも、俺の読んでいる文献の『俺様会長』というのは、目の前の弱りきった会長とは違って、一切仕事をしない只のクズ野郎という場合が多い。
無理はするな、とか。
…言いたいけれど、言える状況じゃないよな。
そんな事を言っても会長は聞かないだろうし、また無駄な口喧嘩が始まるだけだ。
「かいちょ…?」
「、何だよ?」
「その、…あれだ。肩でも、揉んであげようか?」
考えた末に口に出した言葉は、自分でも思った以上に変な事を口走ってしまったと思う。現に、会長は目を見開いて驚いている。
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