チャラ男会計の受難 | ナノ


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チャラ男会計総受け状態。会長×会計



「かいちょーは弱点がない強者だってよく分かった」

呆れながら皮肉混じりにそう言えば、「何だ、今更理解したのかお前。馬鹿だな」と言われた。
馬鹿にしたつもりだったのに逆に馬鹿呼ばわりをされて腹が立ったが、ここで一々切れていたら話が進まない。


「そんな強者さんは早く何処かで欲を発散してきなよ」

「…は?」

「俺がサボっていた所為で仕事に追われてそんな暇がなかったのは分かっているよ?その件は、ごめんね。でもだからって手頃な俺で性欲を解消しようとするのはやめてよ」

「…何言ってんだお前」

「欲求不満なんでしょ?」


ね?と首を傾げながら訊ねれば、会長は何故かゴクンと喉を鳴らしながら一度だけ頷いた。


「うん。そうだよね。だから俺がかいちょーの分の仕事も終わらせておくから、セフレにでも会っておいで」

「………」

「えー。何で、だんまり?あ、俺のあまりの気の利きように感動しちゃった?もうっ、お礼は良いから早く行ってきなよぉ」


意訳。早く俺の傍から離れて何処かに行け。


一週間前に首を噛まれた事と、先程指を噛まれた事は絶対に許さない。早く忘れたいけれどあまりにもとんでもない出来事だったので忘れたくても忘れられそうにない。
大体何で俺にこんな事するんだよ。あまりのアブノーマルな性癖にセフレの子全員にドン引きされたのか?だからむかつく俺で発散させようと…?
それなら新しい子見つけるとか、街に出て誘いに乗った可愛い女の子でもお持ち帰りすればいいじゃないか。どうせ会長なら男女問わず楽々お持ち帰り出来るだろうし。俺なんかに手を出すより全然いいはずだ。

そんな事を思っていると、会長があからさまに大きく溜息を付いた。


「な、なんだよぅ?」

「……馬鹿だろお前」

「は、はぁ?!」

「馬鹿だ馬鹿だ思っていたが、ここまで馬鹿だったとは…」

「ば、馬鹿馬鹿うるさいっ」

何度も言うが俺は馬鹿ではないぞ。犬塚や会長や副会長には劣るけれど順位は四位をキープし続けている。


「お前は馬鹿だからこの俺様が分かり易いように、一から説明してやる。いいか、よく聞いてろよ」

「……っ、」

「一つ、俺にセフレは居ない」

「へっ?!」

「口を挟むな」

「……むー」

「二つ、俺は一途な男だ」

「あははっ、何処がだよー」

「…黙ってろ」

「だって、かいちょーが面白い事言うからさー」

真面目な顔して何を言っているんだ会長は。
だって会長だよ。セフレとヤりたい放題ヤってるこの会長だよ。そんな会長が一途とか有り得ない。
口を挟むなと言われていたが、会長の言葉が面白くて、超ウケるッと手を叩きながら笑っていたら、急に腕を掴まれた。


「な、なに?」


あれ?

これって、何か嫌な予感……。



「煩い口は塞いでやらないとな」

予想的中。
だが行動するには時既に遅し。
分かっていたのに逃げる事が出来ないまま、段々と近付いてきた会長にキスをされてしまった。






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