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チャラ男会計総受け状態。書記×会計
犬塚にガシッと力強く掴まれた両肩が悲鳴を上げる。
本当にお前といい会長といい、自分の腕力を知らないのか。少しは力加減をしやがれ。俺を壊す気か。
会長が居ない今、今更犬塚の前でチャラ男を演じる必要はない。なので素を出して「離せ」と凄んでみたものの、犬塚の顔を見て逆に俺が怯んでしまった。
「(何て表情してんだ…)」
その顔を他の奴等に見せてみろよ。
絶対腰抜かすぜ。
それに何をキレてやがるんだこいつは?
大体怒りをぶちまけたいのは俺の方だ。会長には皮膚が千切れる程噛まれた上に、キスまでされて。しかもその上、目の前の駄犬には肩を潰されそうになってるし。今日は俺にとっての史上最悪の厄日に違いない。
「…愛咲」
「あ?」
「愛咲…」
「だから何だよ?つーか、離せ。俺に触るな」
痛ぇんだよ。マジで。
するとやっと俺の言葉を聞き受けたのか、犬塚は俺の肩から手を離してくれた。どうやら頭の悪い犬は数度厳しく言わないと理解出来ないらしい。躾ってのは意外と大変なものだ。
だが。
「おま、っ、ちょ…待っ、」
犬塚は俺が思っていた以上に理解力が乏しいようで。
犬塚の手は、俺の肩から今度は徐々に俺の顔面に近づいてくる。その手を避ける暇などなかった。
「っ、ん…、ン」
そして犬塚は人差し指と中指の第二間接までを使って俺の唇を拭くように動かす。まるで汚れた物を拭い取るかのように。
「ば、っ…ん、やめッ」
その動きから優しさは一切感じ取れない。犬塚の表情同様に怒りを露にしている。それはもう、唇の皮が剥けそうなほどだ。
俺にはこいつの行動理由が全く分からない。
「てめ、っ、やめ、…ン、ぐ…?!」
もっと厳しく言ってやらないと理解出来ないのかと思い、文句と罵倒の言葉を浴びせようと思ったのだが…俺が口を開いた隙に犬塚は、そのまま俺の口の中へと二本の指を突っ込んできやがった。
「なに、を…、っ、やめろ、」
頭を動かして抵抗したいものの、もう片方の手で後頭部を押さえつけられているため抵抗出来ない。
やる事が変態臭いのは会長と一緒だな。お前も変な性癖の持ち主か?馬鹿野郎。その性欲は俺にじゃなくて、婚約者とやらにぶつけやがれ。
「、ん、ぶ…、っは、」
俺が抵抗出来ないのを良いことに、犬塚の行動は更に度を増す。二本の指で俺の舌を挟んだり、軽く引っ張ってくる。離せ馬鹿っ、お前の指なんかしゃぶりたくねーよ。
だが特に舌の裏側を爪でなぞられるのがやばい。色々な意味でやばい。口の中にも性感帯があるというのを聞いていたが、何度もそこを擦られると出したくもないのに、上擦った声が出てしまう。
「う、ぁ、っ…ん、ぷ、」
だけど。
こんな奴の手でいいようにされるのは絶対に嫌だ!
そう強く思った俺は、突っ込まれている指をおもいきり噛んでやった。
「……っ、」
そうすれば犬塚が小さくだが唸ったのが聞こえてきた。作戦成功だ。
「はっ、…ざまあ」
口端から飲み込めなくなった涎を垂らしながら言う台詞ではないと思うのだが、奴に仕返しが出来たのが嬉しい。嬉し過ぎる。
ほんのり血の味がするような気がする。再び犬塚の血をまた舐める事になるとは。だが止むを得ない。
少しやり過ぎたかなと良心の呵責に苛まれたのだが、俺が気にすることではないだろう。人の口の中に許可無く入ってくるやつが悪いのだから。
ほら、早くてめぇの汚ない指を抜きやがれ。
下衆を見るような目で犬塚を見上げれば。
次の瞬間、二本の指を突っ込まれたまま俺の口に、今度は犬塚の舌まで挿し込まれた。
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