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「ゃ、…ァ」
触らずに俺が射精してしまった事は、こんなに間近に居る雷君も気付いてしまったのだろう。一瞬驚きで目を見開いた後、嬉しそうに口角を上げて笑っている。
俺は恥ずかしくて、それ以上雷君を見ることが出来ず、俯いた。
「も、…いや、見ないでっ」
「何で?」
「だって、…ふ、っ、…こんな、」
「もっと見せろよ」
「…ゃっ、」
「順平の全てが見たい」
雷君の熱い眼差し。
俺はもうそれ以上何も言えずに、ただされるがまま。俺の精液で汚れてしまったズボンと下着を雷君は脱がすと、射精してもなお浅ましく勃起している俺のペニスを大きな手の平で扱き出したのだ。
「ふ、ァ…ぁあっ」
快感にゾクゾクと身体が震える。自慰では到底味わえない快楽。俺の精液塗れの汚いペニスを雷君が触ってくれていると思うと、余計に堪らない。
「ひ、ァ…ぁあぅ」
「いいか?」
「ん、…きもちっ、」
雷君が与えてくれる刺激がとても心地良い。
気持ちいい。好き。好き。大好き。
俺は上ずった声を上げながら、目の前に居る雷君の逞しい胸板に頭を擦り付けた。もうこうなれば雷君に全てを委ねた方がいいに決まっている。
「順平、」
「……ん…ぅ?」
すると雷君の動きが止まった。
…何で?気持ちいいのに何で止めるの?俺は不思議に思って、雷君の胸元に預けていた頭を上げて、雷君の顔を見上げる。
「順平」
「ら、い君…?」
「悪い」
「……?」
何で謝るんだろう。
雷君の言動の意味が分からず困惑していると、不意に雷君の指が俺のお尻の穴を撫でたのだ。
「……っ、」
急な事に身体が飛び跳ねてしまった。
「ら、雷君…っ」
「暴れるな」
「で、でも、…そんな所、…ンっ」
俺が出した精液を塗りつけるように雷君の指は動く。
こんな汚い所を雷君が触れるなんて…。
もちろん男同士のセックスのやり方は知っている。だからってこんな状態でこんな場所で…。それにまだ心の準備だって出来ていないし、それに身体だって綺麗じゃない。
「だ、だめ、」
「駄目じゃない」
「汚い、からぁ…っ」
「順平が汚いわけがない」
「ひ、ァっ?!」
どんなに抵抗しようとも雷君は耳を傾けてくれない。そうこうしている間に、雷君の節ばった一本の太い指がツプリと嫌な音を立てて入り込んできた。
「ぅ、ぁあ…っ」
指の先が少し入っただけだというのに、この異物感。苦しい。怖い。俺は雷君の着ている服をギュッと掴んだ。
「ん、ぐ…だ、めっ」
雷君に嫌われてしまう覚悟をして、このまま扉を開けて逃げ出そうかと考えた。
「お兄ちゃん?」
だけど次の瞬間、愛しの妹の声が扉の向こう側から聞こえてきたため、俺は逃げることなど出来ずに息を潜めた。
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