▼ 雷雨警報発令中
エロ/密室/トイレ「雷、君?」
「………」
「あの、一体…これって、」
どういう状態なんですか?
聞きたいけれど、ギラリと鋭く光る雷君の眼差しに言葉が詰まってしまう。
久しぶりに見た。雷君のこの目。まるで捕食されそうになっている小動物になったかのような気分だ。
「雷君。…手、痛い…っ」
トイレに入った瞬間、何故か雷君も中に入ってきた。突然の出来事に驚き対応出来ずに戸惑っている俺の両腕を頭上で一纏めにすると、雷君は片手で俺の手を拘束してきたのだ。
「雷君、」
怖くは、ない。
だって相手は俺の好きな雷君なのだから。
むしろこんな状況になって、淡い期待にゾクゾクっと背筋を震わせている自分が居る。
だって今の雷君の目、凄い雄っぽい。
雷君の荒っぽい行動や鋭い目付きに興奮して、俺の喉がゴクリと鳴った。それが切っ掛けとなったのか、雷君はやっと口を開いてくれた。
「順平、」
「…な、んですか?」
「順平」
「雷、君?」
「……お前を喰いたい」
低く掠れた声。
ああ、やばい。背筋の震えが止まらない。口内に涎が溜まってきた。
「喰いたい、って…俺の事を?」
「ああ」
「で、も…雷君、今は……あ、ゃ…っ?!」
妹だって家に居るし、こんな緊迫した状況では嫌だ。いやそれ以上に、まだ俺の心の準備が出来ていない。雷君とセックスする妄想は何十回も、何百回もしてきたけれど、やっぱり心臓が破裂しそうなほど緊張する。だって俺は、まだキスだけでも恥ずかしいのに…。
「ン、…ら、い君…、」
「俺を無邪気に煽る順平が悪い」
「そ、んな、…あ…ッ、」
「大人しく喰われろ」
「…ん、」
拘束された手を先程よりも強く握られ、そして指を絡め取られた。それに気を取られていると、貪るような口付けを仕掛けられる。雷君の熱い舌が俺の口内で蠢き回る。
「ふ、ァ」
俺のと雷君の唾液が混ざり合う。
はふ…っとキスの合間合間に必死に呼吸をしていれば、そんな余裕のない俺を見て、雷君が目を細めて笑う。それがとっても恥ずかしく思える。
腰がガクガクと震えてしまった。
「…可愛いな」
「だ、めッ」
「キスだけでこんなになって」
「やだ、言わないで…っ」
「…気持ち良かったか?」
「……ふ、…ぅ」
雷君の甘くて低い声。
だけども俺の耳元で囁く言葉の内容は意地悪で。おもわずクラっときてしまった。きっと雷君の支えがなければ、そのまま座り込んでいたと思う。
「順平」
「…ッ、ぅ」
「ほら、言えよ」
「、…きもち、いい…です」
何これ。恥ずかしい…。
今なら羞恥だけで気を失えそうな気がする。いっそこのまま気を失った方が楽なのかもしれない。
でも。
だけど。
それはちょっと勿体ないかな…?
「雷、くん」
「…堪んねぇ」
「ひ、ァぁッ?」
「もう我慢なんてしてやらねぇよ」
「だ、め…だめっ」
「…ここで喰ってやる」
雷君は俺の声など聞いてくれない。
強引で荒々しい雷君。俺は今から雷君に食べられちゃうんだ。
…支配、されちゃうんだ。
「…ッ、ひァ…ぁあぁっ」
期待で身体が震えてしまった。
そこで改めて俺は自分の淫乱さに気付く。
…だって、雷君の低く掠れた声だけで俺は射精しちゃったんだから。
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