*上原さん、お誕生日おめでとうございます! 「上原、今日誕生日なんだってね」 「え?あ、はい、そうです。どれすとさん、ご存じだったんですね」 「あれだけ浮き足立ってて、気付かないのも些か鈍物だと思わない?上原の誕生日だからって見世閉めて酒盛りだなんて、誰が主役なのか分かりやしないよ。酔った勢いでとんでもないことしでかす子が居るから、瑛或さんが大変そうだ」 「でも、大勢の方に祝って貰うのって嬉しいものですよ。どれすとさんだって経験あるでしょう。『おめでとう』って言われる度に、生きていることを実感するんです。生まれてきたことを、素直に喜べるんですよ」 「ふうん。そういうものかな。わたしは忘れたよ、此処で祝われた回数もね。だけどわたしの誕生日は確か、儲け時だって言われて客入れられてた」 「……ご愁傷さまです」 「お金も大事だけどね。……あ、ひとつ忘れてた。上原、誕生日おめでとう」 「ありがとうございます、どれすとさん。その一言が何より嬉しいですよ、私にとっては。まあ、その誕生日もあと少しで終わるんですけどね」 「うん、そうだね。ということで、わたしからの贈り物は、わたしと一晩中一緒に居られる権利でいいよね」 「ありがとうございます喜んで頂きます」 戻る |