目醒めの儀式(20)
幾重にも重なる花びらを隔てて唇を押しつけてもひんやりした感触があるばかりだ。
けれど、みずみずしい薔薇の香気に混じってユニカがまとっている不思議な香りも鼻腔をくすぐる。
ユニカの血と同じ香り。
なぜそう≠ネのかと不思議に思うより、今日は二十日あまりにわたって触れていなかったその香りを懐かしく感じた。
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