ある少女の懺悔−落暉−(22)
「その顔、何かばかなことを考えているんだろう。言っておくけど、私はもうだめだとは思っていないよ。君なら王妃様と優先的に会える。そうやって直接情報を届けてもらった方がこの混乱を早く収められると思うから頼んでいるんだ」
「わ、分かってるよ……!」
「君が優しくて少し心配性なのは知ってるけどね。……それに、どうにもならなくなる前に手を打たなくちゃいけないこともある。頼りにしてるから」
図星を突かれうろたえたエリーアスを茶化し、笑みを交えながら言ったアヒムは席を立つ。窓の外に教会堂を訪ねて来た者達を見つけたからだった。
エリーアスには荷馬車を引いてやって来たその一団に見覚えがあった。途中で追い抜いてきた家族連れではなかろうか。
また外から病人が……それを見るとやはり心がそわつく。誰も彼もをアヒムが救う必要はないのにと思ってしまう。
他人に尽くす質ではない自分は、つくづく坊主に向いていないな。エリーアスはそんな溜息をつき、客人£Bを怯えながら観察しているふうなユニカの頭を撫でる。
「知らない奴がいっぱいで、落ち着かないな」
「――うん。エリー、お茶を飲む?」
エリーアスが頷くと、ユニカはほんのりと嬉しそうな笑みを浮かべてポットと茶葉を取りに行った。
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