閉じる嘘の空(14)
王として、ユグフェルトは八年前に下した判断を後悔することなど許されない。間違っていたとも思わない。故に、彼がユニカに謝ることなど絶対にあり得ないし、だからユニカがユグフェルトを憎むのをやめることもないだろう。
決して相容れない彼女を、それでもクレスツェンツの養女と認める判を捺したのは。
ドンジョンの、一際高い尖塔に掲げられた有翼獅子紋の王家の旗が翻る。
あの旗は、背負うには存外重い。
だからといって、国王という役目を誰かに肩代わりして貰おうというつもりもなければ、この国のために身を捧げて働くのも嫌ではないのだ。
ただ一人くらいは、見守る者がいてくれてもよいと思う。
その視線が憎しみに満ちていても、彼女がユグフェルトを見つめ続けるだろう。彼が愛した王妃の代わりに。
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