再会(18)
「出世したねぇ、ユニカ」
などと、周りに聞こえてしまう程度の小声でユニカに言ってきては、エリュゼにテーブルを叩かせるくらいだ。
「やめなさいと言っているでしょう。あまり無礼な真似をするなら追い出しますよ」
「はぁい、気をつけます。でも、ドレスがご入り用なんでしょう? それも超特急で。僭越ながら、十日で仕上げられる仕立屋は、王都アマリアといえどあたくしのほかにおりませんよ」
マクダが胸を張る隣ではクリスタが「うむうむ」と頷く。
「ですから早いとこ、採寸を始めましょ」
巻尺を取り出したマクダに対して、差し迫ったこの問題になすすべがなかったエリュゼは何も言い返せない。ユニカも同じく。
だからせめて、若い伯爵がこれ以上いらいらの水位を上げてしまわないように、急いで部屋へ案内するように頼んだ。
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