よんだほんのかんそう +
ネタバレになるほど核心をついたことは書きませんが、苦手な方はお読みにならないようお願いします。
@web『オレサマ竜と小夜の雫』(公開終了)
A徳間書店『薄紅天女』
Bコバルト文庫『Everyday's Shine 〜姫神さまに願いを〜』
C集英社『ラブカは静かに弓を持つ』
1つめはweb小説から!
あげたタイトルの部分は公開終了してしまったようですが1章は公開されています。
竜の子どもと箱入りお嬢様のお話。ファンタジーってこういうものだったよね!という心躍る魔法の描写と、まだ世界がキラキラして見える年頃の二人の純粋な友達関係が眩しかったです。
ほかの物語との繋がりを知っているから浮かんでくるニヤニヤはネタバレにも繋がるので詳しくは紹介できませんが、あの子のためになんとかしたいっていうピュアな気持ちって尊いんだなと思い直すことが出来ました。
おとなの彼女の心にこの思い出はどんな色で残っているのかな…と想像すると温かい気持ちになります。
https://kakuyomu.jp/works/16816452219812653941
2つめは名高い勾玉3部作の最終作!
上巻は男の子の幼馴染み尊い…で下巻で登場した都の人々やヒロインがちゃんと交わることが出来るのか?と思っていましたが心配には及びませんでした。
日本史のあれこれを踏襲しつつこのファンタジー感はほんとにすごい。今回は有名な諸氏が出てきただけでなく、アイヌの英雄譚のパターンも少し踏んでいたのかな?
シリーズ通しての感想としては、どれも闇を見つめる物語なのに読み終えると心は最高に光に満ちている。はーーーーー好き。
そしていずれも自分を探す物語だった気がします。共感するほどに苦しく辛く悲しく、それでも最後にもたらされる救いがある。はーーーー好き。
もう一つ好きだった点は、「自分を見つめる」「自分を探す」というテーマは一貫してありながらも、時代を下るごとに問題が複雑で大人っぽくなっていったところです。勾玉ではもっとシンプルだった苦悩が、天女ではなかなか難解でした。
いずれにしても主人公達はそうした悩みをかみ砕き呑み込み、きっと物語が終わった後もまた苦労しながらそれぞれ幸せになってくれたんだろう…と思えるところがさらによき。
最後には闇が晴れて生きる喜びを感じられるタイプのファンタジー。久しぶりに、(おこがましいですが)お手本にしたいと思う話を読めました。
https://www.tokuma.jp/book/b503049.html
3つめは多分高校生のときに買った本…
『姫神さまに願いを』とそれに付随する物語に育てられた暁子さんですが、長く続いたシリーズの最終巻はさみしくてなかなか読めないという癖があり…
ずっと積ん読にしていました。ずっとって、10年以上…。さすがに酷いですね…
開こうと思ったのは薄紅天女の勢いのおかげですが、読み始めてみると当時のままに面白かったです。この子達が本当に好きだったなぁ〜と懐かしさが加わってしまうのが少しさみしいところですが、藤原さんの文章はいまでも好き、私のホームグラウンドの空気ってこれだなぁ〜と思いました。
読み終わってしまったけど、読んでよかった。
http://ebooks.shueisha.co.jp/detail.php?book=sc947999
4つめはTwitterで表紙を見かけ気になっていた本。
最寄りの本屋になかったあと取り寄せるに至っていませんでしたが、別の本屋の店頭に平積みされていたのに出会えたのは運命だと思って即買いました。
音楽教室の著作権問題は割と最近話題になっていたのもあり、そこへの潜入調査!?ワクワク!と、表紙の不気味さとあいまって期待大。
でも私の熱っぽい期待はいい意味で外れるお話でした。
主人公が暗いので話の雰囲気も割と陰鬱。でも徐々に彼の世界が音楽によってほぐされていくところに惹かれかなり速いペースで読んでしまいました。
表紙の暗い青色は深海の色だけど、私の中では主人公が潜入を始めた時の雨の東京のイメージでもあるな。降った雨には行き場がなくて足許もビルも空も青黒いあの感じ。あながち間違ってもないと思います。
情景描写に力を入れた作品ではなかった気がしますが、主人公が過ごす街、職場、教室のイメージがどれも鮮明。風景の描写はこういう風に使うんや…とすごく勉強になりました。
肝心のストーリーは…よかった。読み終わった直後で上手く言えませんが、暗くて息苦しいのに、最後にあるのは癒やしと前進で、手に取れてよかったと思っています。それから音楽とは、作品とはということも、それに打ち込むことから権利についてまで色々と考えさせられました。
某大手音楽教室の著作権問題も2審の結果が出たのは昨年。タイムリーとまでは言えませんが、この機にちゃんと知っておきたい問題だなと思います。
https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-771784-6
パチパチ👏- PREV │ LIST │ NEXT