「……い、おい、」


微かに聞こえてくる声に目を開ければ視界には真っ白な天井と真っ赤な瞳が映り込む。


『…ん…』

「大丈夫かなまえ」

『……白竜?』


ああそうだ。確かサッカーボールが飛んできて……あれ?それからどうなったんだっけ?状況を把握するべく寝かされていたベッドから上体を起こせばベッド横の椅子に腰掛けた白竜が申し訳無さそうな顔で覗き込んでくる。


「すまない、俺の蹴ったシュートでお前に怪我をさせてしまって」

『つ、めたっ』


それから額に感じる冷たさに私は思わず声を声を荒げた。どうやら腫れが引くようにと白竜が氷嚢を当ててくれていたのだ。


「おい、冷やさないと酷くなるぞ」


そう言ってもう一度私の額にそれを当てようとする白竜はまるで何かの責務を課せられたかのような表情で、何をそんなに一生懸命になっているのかと首を傾げてみれば白竜は言葉を詰まらせてしまった。

………もしかして自分の失態で他人に怪我をさせてしまった事に負い目を感じているのだろうか。痛みもないし触ってみても氷を当てる程の腫れではない。私は気まずそうに俯く白竜にクスリと笑いを漏らした。




『もう気にしなくて大丈夫だよ』

『白竜って優しいね』





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