ベッドに横になる私。それからそんな私に話し掛け続ける太陽。話の内容はやれサッカーの事だったりやれ好きな漫画の事だったり。何も返事をしていないっていうのに話し続けられるなんて、よっぽど好きな事なんだと思う。


「……で、どう思う?」

『あ、ごめん聞いてなかった』


だけどごめんね。せっかくサボリに来ので寝かせてください、っていうのが私の切実な願いなわけで。うん、そんな顔しないで。私の反応にむ、と口を紡ぐ太陽に少しだけ罪悪感だ。


「なまえはさ」


それから再び口を開いた太陽。今度はどんな吃驚話が出るのかと形だけ待ち構えていたら予想もしていなかった質問が私の眠気を一気に吹き飛ばした。


「好きな人いるの?」


さっきまでとは違う顔つきに一瞬にして体の動きが止まる。いきなり何でそんな事を。それから私はひっきりなしに太陽の揺れる髪を見た。窓から吹き込んだ風がサラサラと太陽の髪を揺らして、そんな質問をされて太陽の目が見れないというのもあったけど、それよりも光に反射する太陽のオレンジに目が釘付けだった。


「あ……嘘、やっぱり何でもない!」

『え?』


そんな私の心情なんかはきっとつゆ知らず、さっきの質問を取り消すと笑顔を浮かべる太陽。だけど一体何だったのかと聞く前にまた何時もの太陽が顔を出す。


「次の授業もサボリ?」


その言葉に時計を見てみれば一時間目はもう終わりを告げる一分前。私は急いでベッドから出た。


『太陽もサボってばっかじゃ駄目だからね!』

「あはは、気をつけるよ」


結局太陽が何を言いたかったのか分からないまま、私は保健室を出た。


そういえば次の授業、何だっけな。







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