来てしまった。しかも制服のまま。だけどコンコンとドアをノックしてみても何の返答もない。私は恐る恐る保健室のドアを開けた。


『すみませーん……』


ガラリとドアを開けるとさっきの教室同様、しんとした空気がお出まししてくれた。

今日はキーホルダーも落としちゃうし、運勢はビリかもしれない。ちゃんと占い見てくればよかったかなぁ。思わずそう思ってしまうぐらいの連続的な連鎖にため息をついたそんな時、誰もいないと思っていたはずの奥の方から何かが動いている音がした。ベッドの方だ。


『……誰かいるの?』


その呼び掛けにもぞもぞと布団が動いてオレンジ色の髪の毛が視界に映る。


「なまえ?」

『太陽!』


ゆっくりと近付いてみるとそのオレンジ色の持ち主が隣のクラスの雨宮太陽であることが分かった。太陽は私を見るなりベッドから降りてすっと近寄ってくる。


「どーりでなまえが見つけられなかったのか」

『え?』


なるほどね、とひとりで納得しながら窓から私のクラスがいるグラウンドを指差した。それから意地悪でも言うようにクスリと笑ってみせる。


「サボリ?」


どこか得意気なその表情に、見透かされているのだと分かり思わずたじろぐ。だけどそれは太陽も同じだ。


『太陽こそサボリじゃないの?』

「ひどいなぁ、僕は体が弱いんだ」

『うそつけ』


わざとらしく眉を寄せてみせる太陽に思わず容赦ない一言が口をついて出る。確かに前までは入院生活だった太陽だけど今では元気にサッカーまでしちゃってる。ついでにいうと布団の中にある漫画も見えちゃってるわけで。じと目でその漫画を見ればその視線の意味を道勘違いしたのかまたにっこりと微笑む太陽。


「なまえも読みたいの?」

『違う!』


とりあえず、ここじゃあ大人しくサボリも出来なさそうだから体育に戻ろうか。でもサッカーもなぁ……。






保健室に残る

保健室を出る





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