お弁当を食べて視聴覚室に移動した私達。次の授業では皆同じクラス。さっきは西野空先輩達から逃げ切るのに大変だったねなんて話していた。剣城が私の名前呼ぶから、そう言えば知らねぇとでも言いたそうに目を逸らされる。 ……それにしても。授業中であるとはいえ食後に暗い部屋で座らされたら誰だってうとうとしてきちゃうよね。私は眠気と戦いながら生物のビデオを眺めていた。 「なぁなまえ」 『…南沢さん?』 そんな時、トントンと肩を叩かれ後ろを見てみると机に突っ伏している南沢先輩が眠そうな顔でこっちを見ていた。 「お前シャンプー何使ってんの?」 『シャンプー?わっ』 それからいきなりそんな事を聞かれる。だけど答える間もなくサラサラと髪をいじられている感覚に思わず吃驚してしまった。 「……先輩、セクハラです」 「お、倉間嫉妬か?」 「違います!なまえが嫌がってるんすよ」 そんな私を庇うように倉間先輩が南沢先輩を睨む。だけどそんな事もお構いなしで私の髪を触り続ける南沢先輩。しばらく髪を梳いていたら「あ」と小さな声を漏らした。 「なぁ、天馬が呼んでるけど」 『え?』 その言葉に前の方の席に座る天馬を見てみれば南沢先輩の言う通り天馬がこっちを見ていた。ぱくぱくと口を動かして何かを伝えようとしているけど、何て言ってるんだろう?私は首を傾げて分からないとジェスチャーで伝えようとした。メモで回してくれればいいんだけど……っていうか先生の目の前なのに堂々と後ろ向けちゃう天馬ってすごいよね。私はそんな事を思いながらも天馬が次に何をするのかを見ていた。すると口パクでもなく、ジェスチャーでもなく、メモを使うでもなく、天馬は皆が吃驚してしまうような手段を使った。 「今日一緒に帰ろ!」 視聴覚室内に響く天馬の声。勿論この後先生に呼び出しを食らうことになる。 ▼ending 企画TOPへ |