物音がした方……貯水タンクの裏の方へ近付いてみる。何の音だろう、ボールを蹴る音にも似た音。それに誰かの声。恐る恐る覗いてみればそこにはファーのついたジャンバーを着た人が見える。 『ふ…吹雪先生……?』 「あっ、なまえちゃん」 やっぱり。名前を呼んでみれば吹雪先生が振り返った。もっと近付いてみるとあと二人誰かがいる。 「来い……っ!」 「エターナルブリザード!」 『あれは……』 雪村先輩のシュートをキャッチする白咲先輩。そんな光景に唖然としていれば吹雪先生が私の方へと走って来た。 「なまえちゃん、何でここに?」 『す…すみません』 そうだ、勝手に屋上に出る事は校則違反なんだった。まずい。どう言い訳しよう……でも、あれ? 「あ、怒るつもりじゃないんだ」 僕達も勝手に出てるしね。そう言って閥が悪そうに肩を竦めてみせる吹雪先生に何て返すべきか言葉を探した。吹雪先生達は見る限りでも必殺技の練習って所だろう。私は…… ふと後ろを見ればまだお昼を食べ終わってだらだらと日光浴をしている皆。吹雪先生はそんな皆と私を見て「仲良いんだね」なんて笑ってくれた。 「先輩今のシュートどうでしたか!」 そんな時、さっきまで必死にシュートを打っていた雪村先輩が吹雪先生の方へ掛け寄って来た。 「先生って呼んでってば」 「まだ呼び慣れなくて…って、なまえ?」 『あ、お邪魔してます』 「なまえちゃん達も屋上でご飯だって」 「うるさくしてすまないな」 そんな会話に白咲先輩もドリンクを飲みながら交わって来る。お昼休みはいつも練習してるのだろうか。きっちりジャージに着替えている先輩二人にサッカー好きの凄さを思い知らされる。まぁ、校則違反なんだけど。 私はそれから少しだけ練習を見学させてもらってから三人に軽く挨拶をして皆の所へ戻る事にした。 次の授業は生物。確か視聴覚室でビデオ観賞だったっけ? 「なまえ先に教室戻っちゃうよー?」 『今行くー!』 私はそのまま視聴覚室に向かった。 ▼次へ 企画TOPへ |