今日の一時間目って何だったっけ。天馬と信助と廊下でバイバイをしてひとりそんな事を考えながら教室のドアを開ける。その先にはいつもの賑やかな光景が飛び込んで………


『───あれ?』


ガラリとドアを開けると教室の中は何のドッキリかと思うくらいにしんとしていた。空気が、ではない。もう人っ子一人いないのだ。

一時間目って移動教室だったっけ?いや、確か数学とかだった気がする。流石にこの状況にたじたじの私はその場に立ち尽くしていた。そんな時、


「なまえーっ」

『黄名子ちゃん!』


ガラリと後ろのドアが開いて黄名子ちゃんが入ってきた。私の格好を見るなり驚いたような顔をする黄名子ちゃんだけど、私に言わせてみれば黄名子ちゃんの格好の方がびっくりだ。


『何でもう体操着なの?』


雷門学園の指定ジャージをきっちり着こなしている黄名子ちゃんにそう言えば黄名子ちゃんは一瞬頭に疑問符を浮かべてからハッと何かに気付いたかのように手を打った。


「今日は授業変更があったんやんね!」

『授業変更?』


どうやら一時間目とニ時間目が入れ替わって今からニ時間目だったはずの体育の授業というわけらしい。


「円堂先生が今日の朝になって言うから皆ドタバタだったやんね!ほら、なまえも早くしないと……あっ、チャイム!」


私に体育になった経由を説明している途中で授業開始のチャイムが鳴り慌てる黄名子ちゃん。私がちゃんと朝余裕を持って登校しなかったのも悪いのかもしれないけど円堂先生ってば。


『私着替えてないから黄名子ちゃん先に行ってて?』


多少の不満はあるけれどしょうがない。とりあえず黄名子ちゃんまで巻き添えで欠課にするわけにはいかないとそう言えば黄名子ちゃんは私を置いていくのが申し訳ないと思っているのか吹っ切れないと言った様子でおずおずと教室から出て行った。


「今日はサッカーだから絶対来るやんねーっ!」


最後に一言だけ残して行った黄名子ちゃんに私はまた後でと軽く手を振る。今日はサッカーか。……というか今日もサッカーか。中学の課程としてサッカーばかりの授業はどうなのかと思うけどまぁ、この学校の学園長が総理だからなぁ。私は肩に下げていたバックを机に置きため息をついた。


『……あれ?』


その時、私はバックにつけていたキーホルダーが無くなっている事に気付いた。お気に入りのキーホルダーだったんだけど……どこで落として来ちゃったのかな?なんて、考え事をするのも束の間、外から笛の鳴る音が聞こえてきた。

本当、朝から騒がしいよね、この学園。うーん……どうしようか。はっきり言って一時間目からサッカーだなんて、やる気がまったく起きない。それでもやっぱり行くべきなんだろうけど………






保健室に行く

グラウンドに行く






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