それから葵ちゃんと屋上に向かった私。屋上のドアノブを引けば重いドアが音を立てながら開く。それから屋上へ出てみればそこには既ににいつも一緒にお昼を食べているメンバーがお弁当を広げていた。 「あっ、なまえ達来たやんね!」 私達を見付けるなり嬉しそうに近寄って来た黄名子ちゃん。その後ろには本を顔に乗せて寝ている剣城に悪戯をしようとする天馬と信助、狩屋に輝君も。 『皆揃って……見つかったら大変だね』 「あはは」 そんな事を言いながらもこんな風に皆とお昼を食べれる事をちょっと楽しみにしていたわけで。私は顔がにやけてしまうのを抑えながら皆のいる輪に入っていった。 ちょうど空いていた剣城の隣に座れば寝ていた剣城が私に気付いたのか本から顔を少しだけ覗かせた。 「おい、お前おでこはもう大丈夫かよ」 『え?あ、体育のやつ?』 「何?剣城に何かされたの?」 剣城の言葉にすかさず食い付いてくる天馬。そうだ、天馬や信助達はクラス違かったから知らないんだ。でも剣城からしてみれば言われたくないんだろうなぁ。そう思い何て説明しようかと考えていた時、黄名子ちゃんが何かいいことでも思いついたのかのように皆に耳打ちした。 「えぇっ!?」 「うわぁ」 「剣城君最低…」 「僕だったら友達やめてます」 「何言いやがった黄名子」 「か、軽い冗談やんね〜」 「大丈夫なまえちゃん?」 『え?あ、うん…よく分からないけど大丈夫だよ』 わっと賑やかになる屋上。今日は朝からツイてないなぁなんて思ってたけど……こうやって皆と笑い合えてるからそうでもないのかもしれない。まぁ、キーホルダーはどこかに落としちゃったけど。正直お気に入りだっただけにショックだったなぁなんて、思い出したら小さなため息が漏れた。 「どうかしたの?」 『あれ、聞こえてた?』 そんな私に気が付いて何があったのかと首を傾げる天馬にキーホルダーの事を言えばしばらく何かを思い出すように私から視線を逸らしてバッと立ち上がった。 「あれやっぱりなまえのだったんだ!」 『え?』 「確かここに……って、あれ?」 それからズボンのポケットを探ってみる天馬。だけどいくらポケットを探しても探している物は入っていなかったらしい。しぶしぶと地面に座り直して私の目の前で両手を合わせた。 聞けば朝学園の近くで見つけたらしい。誰か学園の生徒の落とし物かもしれないしと思って拾って来たんだけど結局カバンの中に入れてそのままにして来てしまったそう。 「後で渡しに行くよ」 『ありがとう』 とりあえずキーホルダーが見つかって良かった。そう思っていた時、どこかで物音がした。 ▼貯水タンクの裏 ▼ドアの向こう 企画TOPへ |