視聴覚室でのビデオ鑑賞が終わり、無事一日の授業の終了に皆羽根を伸ばしながら教室へ戻って行く。

私は視聴覚室での出来事を思い出しながらも帰りのHRへと向かった。その途中、お昼からずっと頭から離れない人の声が聞こえてくる。


「なまえ」


振り返れば、やっぱり。


『フェイ』


キーホルダーを渡しに来てくれたのだろうか。そう考えるのが妥当だと思ったがそうではないらしい。きょろきょろと辺りを気にしながら私の方へ近寄ってくるフェイにドキドキと脈打つ鼓動。ああもう、倉間先輩が変な事言うから。


「今日、一緒に帰れる?」

『えっ?あ…うん…』


私はそんな自分に違和感を覚えながらも精一杯にいつもと変わらない態度で接した、つもりだった。


「じゃ、じゃあ、帰り昇降口で待ってるね!」


フェイが嬉しそうな顔でHRへ戻って行く。………私、今どんな顔してたんだろう。




ending





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