次の授業は生物。最後の授業、お昼を食べた後という事もあって皆だいぶだらけている。しかも真っ暗な視聴覚室でビデオ鑑賞だと言うのだから辛い。

前の席が天城先輩だから影に隠れて寝てしまおうか、そう思った矢先に隣の席にいる倉間先輩に肘で小突かれた。


「おいなまえ、」

『?』

「さっきからお前の事ばっか見てるんだけど」


ひそひそと内緒話をするように肩を寄せてそういう倉間先輩。先輩の視線を追いかければそこにはフェイがいた。だけどフェイはちゃんと前を見ている。


『からかわないで下さいよ』


まぁ今ので少し眠気は飛んだような気もするけど。そう言えばもう一度小突かれた。


「ちげぇよ、見ててみ」

『……?』


今度はじっとフェイを見てみる。さっきと変わらない後ろ姿。ほら、やっぱり見てない。そう思った時、スクリーンに向けられていたフェイの視線がゆっくりとこちらに移される。


『!』


その瞳が確実に私を映した瞬間、驚いたように目を丸めてばっと前に向き直ってしまった。


「……な、言っただろ?」

『………っ』


倉間先輩の言葉に何も返せない。

おかしいな……
どこに行ったんだろう私の眠気。





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