二度目のテレポート。気付いたら抱き締められたまま裏庭に立っていた。


「危なかったね」


こんな瞬間を誰かに見られてもまずいと思うんだけど……二つの意味で。


『……フェ…フェイ…』

「…って、あっ!ごごごごめん!」


上手く逃げ切れた事に安心しているのか私と今どういう状態にあるのかを忘れているフェイに恐る恐る声をかければ、こっちが吃驚してしまう程のオーバーリアクションで私から離れた。


「あ、なまえ、あの、僕、」

「見つけたぞフェイ・ルーン!」

「うわ、エイナム!」


それからまた私に何かを伝えようとしたところで誰かの声に遮られる。結局何を伝えようとしてたのか分からないままフェイがエイナムから逃げるようにして走って行ってしまった。


『何だったんだろう……』









***









それから教室に戻って来た私。屋上で一緒に食べるつもりだったのだろう、誘った張本人のサル達がいなくなってしまったため結局お弁当はいつも通り黄名子ちゃんや葵ちゃん達と食べた。

他愛のない話をしてる時もさっきまであったフェイの顔が浮かんで来たりした。結局キーホルダーはあのままフェイが持って行っちゃったし……

私はもやもやした気持ちのまま午後の授業へと向かった。




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