それから数学の授業も終わりを迎え、各自自分の教室へ戻って行く。そういえば最後にプリント集めた時霧野先輩どうしたのかなぁなんて考えながら廊下を歩いていれば、特別クラスから出てきた葵ちゃんが歩いて来るのが見えた。


『葵ちゃん』

「あ、なまえちゃんいい所に!」


そんな葵ちゃんの名前を呼べばパッと笑顔を浮かべて走り寄ってくる。同じクラスになれたらよかったんだけど葵ちゃんは頭が良いから他の教科でもめったに同じクラスになんてなれないわけで。


『どうしたの?』


何だろうと葵ちゃんに聞き返してみると葵ちゃんは一度まわりを見回した後で私の耳元に顔を近付けた。


『……?』

「今日のお昼、皆で屋上行こうよ」

『え!?おく…』

「しっ!」


屋上。本当は行っちゃ行けない場所。まさか葵ちゃんがそんな所に行こうなんて言い出すと思わなかった。私は思わず大きな声が出そうになるのを我慢してなるべく周りに聞こえないように小声で返した。


『大丈夫なの?』

「うん」


見付かったら生徒指導送りになっちゃうよ?そう付け足すけど葵ちゃんは絶対大丈夫だと言って引かない。どこにそんな自信があるのかは分からないけど葵ちゃんがそこまで言うなら……


「って、天馬が」

『え、えぇ…?』

「大丈夫大丈夫!」


……そんなこんなで結局お昼は屋上で食べる事になった私。本当に大丈夫かなぁ。心配だけど楽しそうだからまぁ……いいかな。



屋上へ





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