校内放送で呼び出され急いで放送室に来た私。あと10分もしないうちに次の授業が始まるというのに何の用事だというのだ。私は少し不審に思いながらも机の上に置いてある何かを見つけた。


『……人…を…探している…?』


人を探している。確かにそう書かれたメモだけがちょこんと乗っていたのだ。ますます怪しい。それに放送してた人の声にも聞き覚えがない。もしかして悪戯……?そう思い放送室を出ようとした時、


「あ、来たぞバダップ!」


ドアの方からした声に振り返ってみると放送室のすぐ入り口の所に軍服のような服を着た三人組が立っていた。見たこともない顔。年は…私と同じ位?だけどその服装からしてこの学園の生徒ではない事だけは理解出来た。それからバダップと呼ばれる少年がふいに私の目の前に紙を差し出してきた。


『…?』


その紙をじいっと見つめればやがて浮かび上がってくる人影。茶色い髪にオレンジのヘアバンド、さらには十年前の雷門のユニフォームを着ている……この人は…


『円堂さん……?』

「すまないが協力してくれ」


──…話によればこの人達は円堂さんに届け物をする為に未来からタイムスリップして来たらしい。未来やらタイムスリップやら時空枠がどうやらと。そんなSFちっくな話をわりと容易に理解出来てしてしまうのはきっと茜さんの話をよく聞いているからだろう。だけど疑問に思う事が一つ。


『どうして私…なの?』


校内放送で私を呼び出して聞くくらいなら最初から円堂さんを呼び出せばよかったのに。当たり前の疑問にそう問えばバダップと呼ばれる少年とその隣にいた目付きの悪い少年が顔を見合わせて呆れたようにもう一人の少年に視線を移した。


「我々もそう思ったのだが…」


二人の目線を追ってみればそこには可愛いらしく髪を三つ編みにした少年がじとりと私の事を睨んでいた。


「悪いな、こいつがどうしてもこの時代の女が見たいってうるさくて」

「ふーん…一般人にしては上々って所だな…まっ、俺には適わねぇけど」

『………』


なんなんだこの人。私は彼の発言に思わず眉を顰めた。そんな私に気付いてか隣では二人がぺこりと頭を下げる。


「なまえと言ったか、礼を言う」


それから時計を見て私にそう言うバダップ。次の授業の予鈴まであと一分。私は最後まで彼等の勢いに圧倒されながらも教室へ向かった。



教室へ




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