「だから、この公式使えば…って寝るなバカ!」
「うぐ…っ、いたいっ!ほっぺのびる!」
「ったく、これ明日提出なんだろ?」
「うん」
「じゃあ頑張れ」
「………」
「寝るな!」
「だ、だって…数字なんか見てたら眠くなるよ!」

今日の数学で宿題が出た。まったくわからない数式の羅列で死にかけてたあたしは、帰ってきたリーバーのスパルタ教育を受けるはめになったのだ。こういう時学校の先生が家にいるってありがたいなあとか思うんだけど、相変わらず教え方に容赦がない!

中学の時から補習がある度逃げ出してたなあ、あたし。でも逃げたところですぐ捕まってさ。廊下をずるずる引きずられてアレンに写メとか撮られて。

ぼんやり昔のことを思い出してたらデコピンが飛んできた。よ、容赦ない…!

「人の話を聞きなさい」
「うっ、すみません…」
「はあ…もう2時間ぶっ続けだからなあ…。しかたないか」
「休憩!?」
「おう、気分転換した方がはかどるだろ」
「やった!アイス食ーべ、よ……」
「ん、どうした?」
「無い…!」
「は?」
「アイス、無い…!」
「食っちまったんだろ?」

だ、ダメだあ…、糖分補給なくして勉強なんか、ましてや数学なんかできない…!
冷凍庫の前でうなだれてたら、ぐいっと腕を引かれた。

「行くか、コンビニ」
「えっ、いいの!?」
「食べたらちゃんと勉強しろよ?」
「うん、もちろん!」

上着を着て鍵を持って用意するリーバーに急かされながらサンダルをつっかける。
なんていうか、あたしの扱い方がよくわかってるというか…。飼い馴らされてる気分っていうか……ま、いっか!




夜のおさんぽ曜日




title:おやすみパンチ





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テーマ「人外ファンタジー」
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