「おいコラ!起きろッ」

ぼんやりした意識の中に聞き慣れた大声。急に夢の淵から転げ落ちたと思ったら落ちていたのはあたしだった。
頭を押さえながら見あげればこれ以上ないくらい焦せったリーバーの顔。ちくしょうベッドから引きずり落とすなんて荒業つかいやがって…!
…あー、これ絶対頭打ったよ…いたいなあ。

「………おはよ」
「おはよじゃねえって!いま何時かわかるか!?」

…うわ、朝からうるさい。だけどあたしのパジャマの衿を掴まれてがくがくゆすられるもんだから、これは異常だと思って床に転がっている目覚まし時計を見る。
……あれ…。

「………9時…?」
「そうだよ…!あああもう!お前もオレも遅刻だ!」

ベッドの横で座るあたしに着替えがばさばさ落とされた。
リーバーははやく着替えろと叫んで部屋を出てった。

ドタドタとリーバーの足音がこっちまで響いてくる。焦ってるなあ。
…ま、当然か。リーバーは本当真面目だもんなあ。遅刻なんてしちゃって相当パニックなんじゃないか。…大丈夫かなあ。
だけどあたしは遅刻大歓迎。だいたい1時限数学だし。苦手科目サボれるならラッキー以外の何物でもない!。

…でもまあとりあえず急いであげよっかな。ほらリーバー急いでるし。
そう思って寝起きにしてはありえないくらいのスピードで着替えて、ちょうど制服のリボンを結び終わった瞬間ドアが勢いよく開いた。

「ちょ、ノックくらいしよう…!」
「よし、着替えたな!」
「無視ですかー」
「はいこれ朝飯。今日はこれで勘弁な」「ちっくしょスルーしやがって…って、やった、メロンパン!」
「好きだろ?」
「よく分かってらっしゃる!」
「よし車乗れ!送ってく」
「え…あ、いいよだって1時限数学だし」
「…晩飯、作らねえぞ」
「さあー学校行くかな!」
「手のかかるやつ…!」



ふたりして寝坊する曜日




title:おやすみパンチ






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